出版社内容情報
サリヴァンの雑誌「サイカイアトリー」の編集者が描く、サリヴァンの姿。初版1985年
全2巻
2002年7月復刊:本体6000
内容説明
20世紀最大のアメリカの精神科医サリヴァンの生涯、とくにその前半生は、ほとんど謎であった。彗星のように現われ、薬物のない時代に貧しい人びとを中心とする分裂病者の精神療法に手をつけ、数百人の患者について、かなりの比率の成功を収めながら、その仕事は神話化され凍結されてしまう。世界平和を願い、国際会議出席のためパリに客死するまで、彼の伝記的事実についても、仕事の全貌についてもヴェイルに蔽われたままであった。人びとはサリヴァンについて沈黙をまもった。しかしアメリカ力動精神医学の全盛期であった1950‐60年代を通じて“サリヴァンは闇の帝王としてアメリカ精神医学界に君臨していた”。第一巻では彼のルーツ、アイルランド系移民の苦闘から、公的には前半生のハイライト、シェパード病院時代まで、私的には母との死別までを扱う。
目次
はじめて見るお月さま
エラ・スタックの家系
ティモシー・サリヴァンの家系
レックスフォード街
ハリーの母消える
シェナンゴの刻印
地元民根性の台頭
シェナンゴ郡の二人の子
スマーナに入学する
静かな奇蹟〔ほか〕
著者等紹介
ペリー,ヘレン・スウィック[ペリー,ヘレンスウィック][Perry,Helen Swick]
ワシントン精神医学校で個人精神分析のコースをとり、1946年よりサリヴァンの秘書、またサリヴァンの雑誌『サイカイアトリー』の常任編集者となる。サリヴァン全遺著の編集実務責任者。サリヴァンの死後はやく伝記的事実の収集につとめる。また社会心理学者として1966‐67年、カリフォルニアのヒッピーの群の「関与的観察」を行い『ザ・ヒューマン・ビー・イン』を出版。ヒロシマの心理的インパクトについての論文もある
中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在、甲南大学文学部人間科学科教授
今川正樹[イマガワマサキ]
1945年兵庫県に生れ育つ。神戸大学医学部卒業。現在、兵庫県立尼崎病院神経科勤務
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