出版社内容情報
「フランス文学、それは私だ」ジィド、プルーストとの出会い等ガリマール書店創始者、初の伝記。
内容説明
なぜガリマールをとりあげたのか、かれがユニークで例外的な人物だったからだ。20世紀初頭の10年間に出版活動に身を投じた人々の中で、ガリマールは生涯の終りにあたって、自社の部厚いカタログをひもときながら、フランス文学、それは私だということができた唯一の人物であったことはたしかだ。本書はこの重要でありながらよく知られていない人物について書かれた最初の伝記である。また半世紀にわたるフランスの出版活動についての専門研究でもある。ガストン・ガリマールの生涯という心をそそられる謎の探求の成果である本書は、歴史的な客観性というよりも、知的誠実さをめざしている。目的はただ一つ、ガストン・ガリマールはいかにしてガストン・ガリマールになったか、という問いに答えることであった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nranjen
3
図書館本。必要箇所だけ読もうと思っていたのに、ついつい面白くてそれ以外のところも読んでしまった。二枚舌、ひとくせもふたくせもあるガリマール社社長のガリマールと、ワンマンで自らの勘を頼りに情熱のまま行動するグラッセ社社長のグラッセ。この二人のばちばちのライバル関係が大戦間の出版業会を牽引していっていたことが表されている。それにしても占領下はやっぱり微妙だ。モーリヤックがブロックノートで訴えていたように、NRFを「背負わされていた」ドリュ・ラ・ロシェルはやはり気の毒に思えてくる。他の出版社の経緯も面白い。2019/07/06
PETE
0
ガリマールという個人を通じて、フランスがまだ世界の中心であった時期の最後の輝きを放っていた出版文化を描き出した長編だった。読み終わって、課題書リストをさらに増やされた感じ。2020/01/13