出版社内容情報
10年に近い歳月をついやし、死の直前まで執筆しつづけながら、不幸にして未刊に終わった大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
twinsun
8
手を下し現場に立ち会ったものに責務を負い命を吹き込めば、それとともに生きることができる。ツァラトゥストラはともに山に登らぬものは置き去りにするだけである。一方「城砦」には目を背けるものは舞台で抹殺されるのを覚悟せねばならぬような怖さがある。行動を持って何かをめざすことが理性であるような力を生み出す種を宿さぬものは生き残れない。命がけで出会い接することによってしか人もものも思いも意味を与えられず悔いのない血の流れることもない。生きることを選ぶかどうかを試されているような語りである。2021/09/26
たか
1
『戦う操縦士』『人間の大地』等と比べるとやや読みにくいが、メッセージは一貫している。船、西洋杉、旅人などのモチーフが繰返し出てきて詩的なリズムを生んでいる。神殿と石材の喩えは『戦う操縦士』でも出てきた。論理や結果は過去のものでしかなく、未来はつねに変化し予測できない。重要なことは行動のなかにある。ベルベル人の帝国の王が独白する形式をとっているが、物語というほどのプロットがあるわけではなく、折に触れて好きなページを開き文章を味わいたいような内容。2025/05/15
sidus
0
「自由が放縦でないと同様、秩序は、自由の欠如ではない。」2008/12/12
chiKa beiNi
0
なんかもうほんっとにこんな美しい本があるんだって思った。 一生をかけて読みたい本