出版社内容情報
本書は、1階Hamilton-Jacobi方程式の理論に関する多くの重要な話題について広汎にわたって解説しており、特に現代的なアプローチや視点に重点をおいた入門書。まず、1階Hamilton-Jacobi方程式に関する粘性解の基礎的理論を解説し、その適切性を取り扱う。続いて、1980年代からとても活発な研究対象であるにもかかわらず、これまで標準的な教科書には述べられていなかった均質化理論について詳しく論じる。その後、解の力学的性質であるAubry-Mather理論と弱Kolmogorov-Arnold-Moser(KAM)理論を取り扱う。これらの理論を述べるにあたっては力学的アプローチと偏微分方程式(PDE)アプローチの両方を紹介する。また均質化理論と力学的解釈との関係や最適収束率についても論じる。
本書は自己完結的に述べられているので、教科書や参考書として最適の1冊であり、均質化理論の親しみやすい入門書としても役立つであろう。
【目次】
第1章 Hamilton-Jacobi 方程式に対する粘性解入門
1.1 序論
1.2 一階Hamilton-Jacobi 方程式に対する粘性消滅法
1.2.1 接触関数による粘性解の定義
1.2.2 問題
1.2.3 広義の微分を用いた粘性解の定義
1.2.4 問題
1.3 粘性消滅法による粘性解の存在
1.4 粘性解の整合性と安定性
1.5 定常問題に対する比較原理と一意性の結果
1.5.1 問題
1.6 Cauchy 問題に対する比較原理と一意性の結果
1.6.1 問題
1.7 古典的なBernstein 法入門
1.7.1 問題
1.8 Perron の方法入門
1.8.1 定常問題に対するPerron の方法
1.8.2 問題
1.8.3 Cauchy 問題に対するPerron の方法
1.9 Perron 法を用いたCauchy 問題のLipschitz 評価
1.9.1 問題
1.10 Cauchy 問題に対する有限速度伝播
1.11 定常問題に対する粘性消滅法の二重変数法による収束率
1.12 定常問題に対する粘性消滅法の非線形随伴法による収束率
1.12.1 一般の非凸型Hamiltonian
1.12.2 一様凸型Hamiltonian
1.12.3 問題
1.13 文献
第2章 凸型Hamiltonian をもつ一階Hamilton-Jacobi方程式
2.1 最適制御理論入門
2.2 動的計画原理
2.2.1 問題
2.3 値関数に対する定常Hamilton-Jacobi 方程式
2.4 Legendre 変換
2.4.1 問題
2.5 Lagrangian の視点から見た最適制御公式
2.5.1 Lagrangian の視点に基づく定常方程式の解の新しい表現公式
2.5.2 Lagrangian の視点からのCauchy 問題の解の表現公式
2.5.3 問題
2.5.4 Hopf-Lax の公式
2.5.5 一階波面伝播問題
2.5.6 問題
2.6 一階凸型Hamilton-Jacobi 方程式の更なる隠された構造
2.6.1 一階凸型Hamilton-Jacobi 方程式の粘性劣解の特徴付け
2.6.2 一階凸型Hamilton-Jacobi 方程式の粘性解の特徴付け
2.6.3 問題
2.6.4 Hopf-Lax の公式再訪
2.7 最大劣解とその表現公式
2.7.1 最大劣解と距離問題
2.7.2 Lagrangi



