出版社内容情報
コロナ禍によって前景にせり出した公衆衛生と個人の自由との相克という問題は、古くて新しい哲学的問いである。古代から繰り返されてきた疫病を前にして、「社会を防衛しなくてはならない」という思想はいかにして生まれ、集団での予防と個人の自由のせめぎあいはどのように論じられたのか。さらには、病原体、マスク、ワクチン、治療薬、患者、健康人、医療者、統計データが織りなす世界の多様性を、哲学はいかにして思考できるか。倫理学的であると同時に、存在論的な問題設定のアリーナがそこに開かれる。
内容説明
コロナ禍によって前景にせり出した公衆衛生と個人の自由との相克という問題は、古くて新しい哲学的問いである。古代から繰り返されてきた疫病を前にして、「社会を防衛しなくてはならない」という思想はいかにして生まれ、集団での予防と個人の自由のせめぎあいはどのように論じられたのか。さらには、病原体、マスク、ワクチン、治療薬、患者、健康人、医療者、統計データが織りなす世界の多様性を、哲学はいかにして思考できるか。倫理学的であると同時に、存在論的な問題設定のアリーナがそこに開かれる。
目次
第1章 公衆の健康とは何か―公衆衛生の系譜学(ペストと公衆の健康;衛生学の誕生;コレラと結核;おわりに―人口の管理と規律)
第2章 公衆衛生の倫理―健康、社会、そして自由を守るために(公衆衛生倫理学の枠組み;公衆衛生の主体;公衆衛生の介入場面;公衆衛生の目的;公衆衛生の正当化;おわりに―公衆衛生の倫理をめぐる二律背反)
第3章 個人の集団、集合体の集団―パンデミックが照らし出す二つの集合性(集団化の結果としての集団;個人の集団;ホロビオントの集団;集団化の見本市)
第4章 デジタル化と社会防衛―医療・健康・身体情報の利活用と生政治、規律権力、そしてジェンダー・ポリティクス(フーコーの生権力;医療・健康情報のデジタル化と生権力;フーコーの統治性と司牧的権力;フェムテックと統治性、そして人的資本への投資;おわりに―未来に向けた五つの論点)
著者等紹介
美馬達哉[ミマタツヤ]
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。京都大学大学院医学研究科附属脳機能総合研究センター准教授などを経て現職。研究テーマは臨床脳生理学、医療社会学、医療人類学、生命倫理、現代思想
西迫大祐[ニシサコダイスケ]
沖縄国際大学法学部准教授。明治大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。研究テーマは、予防と自由のジレンマをめぐる法哲学、ミシェル・フーコーの哲学
玉手慎太郎[タマテシンタロウ]
学習院大学法学部政治学科教授。東北大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。研究テーマは、倫理学および政治哲学
浜田明範[ハマダアキノリ]
東京大学大学院総合文化研究科准教授。一橋大学大学院社会学研究科単位取得退学。博士(社会学)。研究テーマは、医療人類学、社会人類学、西アフリカ地域研究
佐々木香織[ササキカオリ]
札幌医科大学医療人育成センター教授。英国のDepartment of Sociology,Lancaster University博士課程修了。PhD(Sociology)。研究テーマは、(医療)社会学、カルチュラル・スタディーズ、科学技術社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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