内容説明
“ものづくり”の肝は分散です。混練、塗布、乾燥などのプロセスは分散状態に依存し、材料の微細構造を決定づけます。材料の分散状態は熱力学的な要因だけではなく、流体力学的な条件に大きく依存して、レオロジーも複雑に変化します。しかも、ラボ実験スケールからスケールアップを行うと、分散状態の変化により材料物性や性能が変化します。本書では、スケールアップの課題に立ち向かうために、構造形成の学理を平衡論や速度論に加えて、非平衡相変化の視点から丁寧に解説しています。さらに、演習問題を活用することで、より実践的に学ぶことができます。
目次
現代的スケールアップ
材料の構造形成
律速過程
非平衡性と非線形性
流動特性
反応プロセス
析出プロセス
分散プロセス
混練プロセス
塗布プロセス
乾燥プロセス
気相薄膜プロセス
スケールアップのまとめ
著者等紹介
山口由岐夫[ヤマグチユキオ]
1975年東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱化成株式会社(現三菱化学株式会社)入社、マサチューセッツ工科大学留学を経て、三菱化学材料工学研究所長、慶應義塾大学より工学博士取得。2000年より東京大学大学院工学系研究科教授(化学システム工学専攻)。現在は、一般社団法人プロダクト・イノベーション協会(PIA)代表理事、東京大学名誉教授。研究分野は機能材料プロセシング、構造制御と機能設計、ナノテクノロジー、知識の構造化。2012年米国化学工学会(AIChE)より、塗布技術の学術的理解と開発に多大な貢献をした研究者へ与えられるJohn A.Tallmadge Awardを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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