内容説明
ミュオグラフィは、素粒子ミュオンを使って巨大物体の内部を描き出す最先端の科学技術である。50年前に一人の男を惹きつけたピラミッドがミュオグラフィ観測の初舞台となり、10年前、火山を対象にミュオグラフィは花開いた。そして今、ミュオグラフィは再びピラミッドへ戻ろうとしている。この歴史的経緯に習い、本書は2部構成とする。第1部では、主対象であるピラミッドについて知るために、現在「ピラミッドに関してどこまでわかっているのか」を多角的に説明する。敵=研究対象を知ってこそ、戦い方=研究方法がわかるというものだ。第2部では、ミュオグラフィの聡明からわが国における火山透視の初成功、火山からさまざまな観測対象への展開そして急速な世界への波及について論ずる。
目次
第1部 ピラミッド(ピラミッドは「墓」なのか?;ピラミッドの持つ意味について;ピラミッド両墓制論からの視点;ピラミッドはどのようにしてつくられたのか?;ピラミッドの重さ)
第2部 ミュオグラフィ(宇宙からの素粒子ミュオンで巨大物体を視る;ミュオグラフィの原理;ミュオグラフィ研究の加速)
著者等紹介
田中宏幸[タナカヒロユキ]
東京大学地震研究所教授。理学博士。名古屋大学大学院博士課程短縮修了後、米カリフォルニア大学リバーサイド校博士研究員、日本学術振興会特別研究員、東京大学地震研究所特任助教、准教授を経て現職。ミュオグラフィ研究の世界的な第一人者。2006年、世界で初めてミュオグラフィによる火山の撮影に成功
大城道則[オオシロミチノリ]
駒澤大学文学部教授。博士(文学)。関西大学文学部史学科地理学卒、関西大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期課程修了。バーミンガム大学大学院古代史・考古学科エジプト学専攻修了。駒澤大学文学部専任講師、准教授を経て現職。専門は古代エジプト史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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