内容説明
量子力学の胎動期を生きた若き化学者の手になる名高い教科書の新訳。量子論が生まれた背景と、量子力学の威力、化学への応用を、基礎の基礎から説き起こす。式の展開に飛びがないため、高校の数3と大学初年次の数学力があれば、理論展開についていける。わかりやすい図67点と表25点も、読者の理解を助けるだろう。どんな化学現象もミクロ世界に住む電子が起こし、ミクロ粒子のふるまいは量子力学に従う。本書の懇切丁寧な記述を追えば、化学の土台をなす豊かな知恵がきっと身につく。
目次
古典力学の整理
古い量子論
シュレーディンガー方程式1 一次元の調和振動子
シュレーディンガー方程式2 三次元の粒子系
シュレーディンガー方程式3 水素原子
近似法1 摂動論
近似法2 変分法ほか
電子スピンとヘリウム原子
多電子原子
分子の回転と振動
時間を含む摂動論―放射の放出・吸収の共鳴現象
単純な分子とイオン
複雑な分子
ほかの応用
波動力学の周辺
著者等紹介
ポーリング,ライナス[ポーリング,ライナス] [Pauling,Linus Carl]
1901~1994。米国オレゴン州生まれ。1922年オレゴン農業大学(現州立大学)卒業、1925年カリフォルニア工科大学(カルテク)大学院修了。グッゲンハイム奨学金で渡欧し、ゾンマーフェルト(ドイツ)、ボーア(デンマーク)、シュレーディンガー(スイス)に師事。1927年に帰国後はカルテクに勤務し、sp3・sp2混成軌道の提唱など化学結合の本性と分子構造に迫る研究を展開。1932年に電気陰性度を発表。ラングミュア賞(米国化学会、1931)、デーヴィー・メダル(英国王立協会、1947)など各国学術界からの受賞多数
ウィルソン,E.ブライト[ウィルソン,E.ブライト] [Wilson,Jr.,Edgar Bright]
1908~1992。米国テネシー州生まれ。カルテクのポーリング研究室に所属。ハーバード大学に移ったあと群論を使う分子分光スペクトルの解析と化学教育に従事
渡辺正[ワタナベタダシ]
1948年鳥取県生まれ。1976年東京大学大学院工学系研究科修了、工博。同大学助手、助教授、教授を経て2012年に定年退職(名誉教授)。同年より東京理科大学理数教育研究センター教授。専攻は電気化学、光化学、環境科学、化学教育(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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