内容説明
小雨、にわか雨、しぐれ、春雨、穀雨、五月雨、梅雨、虎が雨、夕立、雷雨、秋雨、長雨、氷雨、寒の雨、霧雨、小糠雨、煙雨、細雨、そばえ(戯)、涙雨、篠突く雨、鉄砲雨、淫雨、恵みの雨、慈雨…。日本人は雨に実に多くの名前をつけた。雨が日本人の精神的風土にどのような影響を及ぼしたのか、四季折々の雨を通して、ときに古典を繙きながら、ときに演歌・ポップスに耳を傾けながら、日本人と雨の関りを楽しく探るエッセイ。
目次
春
梅雨
夏
秋
冬
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
12
気象庁職員だった著者による、一年の雨を古今の文学も交えて楽しむ随筆文化論。春の菜種梅雨に始まって雪解けまで、雨というものに伴う自然の恵みに日本人がいかに情緒を託してきたかを豊富な引用で、そして観測員としての科学知識も交えて語っていて軽く楽しめる。言われてみればという話だが五月雨と梅雨がほぼ同じものを指していたというのは意外な話だった。苦難を耐え忍ぶ雨、涙を伴う雨、恵みの雨、趣ある時雨……一年の雨を順に辿りながら合間合間に気象観測雑学も入っていってバランス良く雨を感じられる、短くてさっと読むにはとてもいい本2017/06/20