内容説明
「ベルリンの壁崩壊」と「ドイツの統一」、その時、ドイツの子どもたちは何を思ったのか、子どもたちはドイツ統一をどう体験したのか、本書の中から、子どもたちの声が聞こえてくる。この声に耳を傾けることによって、あの衝撃的な歴史の転換点を、政治や経済とは違った観点から、検証することができる。
目次
はじめに 人間はどこまで変化についていけるのでしょうか
第1章 「統一して一番良くなったものはマーマレード」
第2章 「0時間労働に追いやられて」
第3章 「私は不安です」
第4章 「私はもう、何をどう考えたらよいのか、わからない」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みなみ
5
ドイツ統一後の子どもたちの声を集めた一冊。東ドイツ時代は物がなかった。統一ドイツになったら、なんでも物はあふれているが、それらは高価で買えない。旧東ドイツの失業率は高く、子どもたちの両親たちには仕事がない人がたくさんいる。いままで教えられたイデオロギーは嘘で、先生は掌返しで以前と反対のことを言う。信じていた世界が変わってしまったのは、戦後日本もそうだったのではなかろうが。リサイクルに熱心だった東ドイツの子どもたちが、使い捨ての容器をみてショックを受けるのはもっともだ。子どもは社会を見つめている。2020/02/02
トミーチェ
0
ベルリンの壁崩壊とドイツ統一を見た子どもたちの、ドイツの金属労働組合「IGメタル」の機関紙が行った、子どもの手紙コンクールに寄せられた、子どもたちの目から見たドイツ統一について。両親や家族について、消えた国境と急変した社会や生活に対する戸惑い。行き来しだした人々や商品の増えた商店など身近な生活に、または当時始まった湾岸戦争に向けられた子どもたちの視線の鋭さ。子どもたちの世界がすっかり変わった様子が綴られている。統一から25年たった今、この子どもたちが社会の中核をなしつつある。ドイツの統一当時の空気を思い出2015/10/07