内容説明
日露戦争の勃発に伴い、明石元二郎大佐は欧州での対ロシア諜報・謀略工作の任に就く。明石は、反ロシアという共通の目的を抱く亡命フィンランド人シリアクスと共に、ロシア内部の攪乱に全力を尽くす。この過程を克明に追ったのが本書である。丹念な資料調査を基に再構成された事実は、「明石工作」に帰せられた成功神話を突き崩していく。だが、砕かれた神話の陰からは、現実の中で苦闘する人間たちの生々しい姿が浮かび上がってくるであろう。
目次
序 神話の打破を目指して
1 諜報工作の始動
2 ポーランド抵抗運動と日本
3 反ツァーリ抵抗運動の扇動
4 パリ会議の開催とその帰趨
5 専制の動揺、革命の始まり―満州・ペテルブルク・西欧
6 武装蜂起計画への対応―外務省と参謀本部
7 ジュネーヴ会議―第二回反ツァーリ抵抗諸党連合会議
8 武装蜂起計画の始動
9 オフラーナの武装蜂起対策
10 ジョン・グラフトン号の航海
結び 「明石工作」は失敗か?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
106
「明石工作」の神話を突き崩していく、というかこれほどまでに細かく資料にあたって、外国とくにロシアの国内事情などを分析した資料はあまりないと思います。「坂の上の雲」は私は小説と割り切っているので、明石元二郎や広瀬、秋山兄弟の話は読者を楽しませるためのものと思っています。まあ非常に力作であると思います。もったいない感じです。2016/06/07
Tomoichi
13
明石元二郎のロシアにおける謀略活動の成果を否定する一冊。序で他国の研究者との研究協力をして明石の実像に迫るように書いてあるが、内容は過去の他の書籍と変わらず、憶測の部分が多く、どの内容が研究成果で、どこからの引用なのかさっぱりわからず、成果否定の答えから入っているのが残念。しかし「オフラーナの武装蜂起対策」は良くできていた。明石の謀略が参謀本部の望む成果をあげれなかった事は理解できたが、多面的な成果や与えた影響などより掘り下げれるのではないか?結局研究協力の成果はあったのかな?2018/07/31
depo
1
図書館リサイクル本。2020/09/17
げんさん
1
「坂の上の雲」などでは、日露戦争を勝利に導いた有力な要因とされている明石元二郎大佐の謀略活動の詳細を記述。筆者によれば、直接、具体的な工作の成果はなかった模様だ
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