内容説明
南イタリアは、多様な民族の文化が2000年以上積み重なり複合化する過程において、数多くの魅力的な小都市を生み出した。先史時代の穴居の伝統、都市の玄関としての海港、中世の丘上防御、封建社会の強力な支配体制、未曽有の繁栄を視覚化させるバロック様式といった各時代の位相は、各々の小都市に固有の相貌を与えることになる。本書は南イタリアのダイナミックな歴史的展開と民族の交錯を見事に写し出す七つの個性的な小都市の姿を現地に捉えた記録である。
目次
1 トゥルッリの都市アルベロベッロ
2 丘上都市オストゥーニ
3 円形都市ロコロトンド
4 建設都市マルティーナ・フランカ
5 バロック都市レッチェ
6 洞窟都市マテーラ
7 海港都市アマルフィ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
286
南イタリアのプーリア州(長靴のかかとの部分)にはとっても魅力的で、しかもそれぞれに個性的な街がたくさんある。アルベロベッロ、マルティナ・フランカ、ロコロトンド、オストゥーニ、レッチェなどがそうだ。中でも出色なのが、アルベロベッロ(美しい木)だろう。トゥルッリが立ち並ぶ街の風景は、もはやほとんどお伽の国といった風情である。また南イタリアらしく壁の白も光に映えて美しい。バロックの街レッチェとマルティナ・フランカもまた愛らしくもあり、一種荘厳な気配をも漂わせている。北イタリアとは別の国であるかのようだ。2023/08/05