内容説明
17世紀ローマと18世紀トリノ、この対比的な二大バロック都市に華開いたバロック建築は、無限に変容するバロック音楽に比せられる程、劇的な空間を実現し、さらに、現代の我々に通ずる建築システムを作り出した。本書は、イタリアバロックの魅力を語り、さらにそのダイナミズムに迫る巡礼記。
目次
至福のバロック
バロック都市―無限展延への快楽
ローマ・バロック―劇的空間
ピエモンテ・バロック―重層された幾何学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
322
著者の湯沢正信氏はバロック建築の特徴を「全体への統合性、感覚に訴える空間的効果、光の織りなす幻想性、演劇的ダイナミズム」にあるという。また、バロック建築を「幾重無限変容空間」とし「我々を至福の快感へと導く」とする。バロック建築に関して、これまでにこんなによくわかる説明を読んだのは初めてである。そして、私たちの眼前にはバロック都市ローマが開けている。案内人はベルニーニとボッロミーニ。手始めにはベルニーニの4つの泉を見るだけでも私たちはバロックの一端を了解できるだろう。それは日常の中に現出した祝祭空間に⇒2022/12/18