内容説明
「石橋を叩いて渡る」という諺があるが、叩いた時の音を聴くことで、石の内部の欠陥を知ることができる。同様に様々な物質中を伝搬する音波を測定することによって物質のミクロな状態や運動を知ることができる。これが音波物性といわれる研究分野である。また音波の振動数が非常に大きくなると、実は熱振動と同じものとなりそこでは量子力学的な性格をもつ粒子とみなされるようになる。これが本書のテーマ“フォノン”(音響量子)である。本書では、フォノンを中心に音波物性の話を、様々な応用と将来展望を交えてやさしく解説する。
目次
1 音波の性質と測定
2 格子欠陥と音波
3 トンネル原子系の共鳴
4 量子化された音波―フォノン
5 熱伝導とフォノン散乱
6 フォノンの伝搬―音と熱の接点
7 フォノン物理の展望