出版社内容情報
日本の伝統的な手仕事の現場には、職人たちが不思議な縁で結びつき、自然の恵みを循環させる仕組みがあった。『ぶたにく』『ホハレ峠』等で知られる写真家・映画監督がおくる感動のノンフィクション。
【目次】
内容説明
日本の技術と文化を支えてきた伝統工芸の職人技。一本の和〓燭がつなげる職人たちの仕事と人生、その姿から見える希望とは?〈循環する暮らし〉のゆくえを追う感動のノンフィクション!長編ドキュメンタリー映画『炎はつなぐ』(監督・著者/配給・シグロ)原作。
目次
山村の知恵
第一章 和〓燭の〓~ハゼ編~(和〓燭職人 愛知県岡崎市;木〓職人 長崎県島原市 ほか)
第二章 和〓燭の芯~和紙編~(和〓燭の芯 愛知県岡崎市;和紙職人 岡山県津山市 ほか)
第三章 和〓燭の芯~灯芯草編~(灯芯引き 奈良県安堵町;灯芯草農家 福岡県筑後市 ほか)
第四章 和〓燭の芯~真綿編~(真綿職人 滋賀県米原市;養蚕農家 愛媛県大洲市 ほか)
著者等紹介
大西暢夫[オオニシノブオ]
1968年生まれ。作家、写真家、ドキュメンタリー映画監督。これまで発表した主な作品に、『ぶた にく』(第五十八回産経児童出版文化賞大賞、第五十九回小学館児童出版文化賞受賞)、『ホハレ峠』(第三十六回農業ジャーナリスト賞受賞)、『ひき石と24丁のとうふ』(第七十二回産経児童出版文化賞大賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
105
和蝋燭の製作に関連する職人たちの姿が美しい。32種類もの手仕事がしりとりのように繋がっているのが凄い。金箔を作るために和紙が必要で、その和紙を鍛えるために藁灰や渋柿の職人が関わる。更に、漆カンナや砥石など、職人の命である道具もまた、優秀な職人の手仕事によって整えられている。この見事な連鎖の一つが途切れても成り立たない奇跡の世界に圧倒される。あとがきに「皆さん、僕のような門外漢の素人に対しても謙虚だった」とある。でも、それは、著者自身が謙虚だったからだ。手仕事への敬意に満ちたこの本の精神は、とても気高い。2025/08/19
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
4
和ろうそくにつながる伝統工芸産業の世界。養蚕、漆、ハゼ、藍、墨・・・こうしたものが、どこかで細く網の目のようにつながっていて、廃棄される物は何もないという循環型産業。知らなかったことだらけだ。木地の椀に漆を塗り重ねるのは、単なる塗料というより目張り、硬化の目的があるなんて。これは素晴らしい本だ。映画も良かった。https://qr.paps.jp/KIkcB 2025/08/30
chuji
1
久喜市立中央図書館の本。2025年6月初版。初出「毎日新聞東海版・人と知恵がつなぐ」2020年4月~21年4月。大幅に加筆・修正。手仕事職人譚。職人の世界ではいつも問題になる後継者問題。ドキュメンタリー映画『炎はつなぐ』原作。映画も観てみたい!『養蚕という仕事は、命を育てる仕事なのか、それとも命をモノとして扱う仕事なのか、考えて続けています。』p.422。職人達の横の繋がりと追って行く著者の心意気に感動です。2025/07/14