内容説明
あなたの「物語」が狙われている。不安や怒りを煽り、社会を分断する「情報兵器」のメカニズム。
目次
第1章 SNSで暴れるナラティブ
第2章 ナラティブが持つ無限の力
第3章 ナラティブ下克上時代
第4章 SNS+ナラティブ=世界最大規模の心理操作
第5章 脳神経科学から読み解くナラティブ
第6章 ナラティブをめぐる営み
著者等紹介
大治朋子[オオジトモコ]
毎日新聞編集委員。1965年生まれ。『サンデー毎日』記者時代に「最強芸能プロダクションの闇」「少女売春」などをテーマに調査報道。社会部では防衛庁(当時)による個人情報不正使用に関するスクープで2002、2003年の新聞協会賞を2年連続受賞。ワシントン特派員として米陸軍への従軍取材などで「対テロ戦争」の暗部をえぐり2010年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。エルサレム特派員時代は暴力的過激主義の実態を調査報道した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
103
現代はSNSで投稿を公開している人が多い時代となり、個人のプロファイルからその人が反応しそうなナラティブを作り、行動変容につなげようとする動きがある。特に怒りなどのネガティブな感情は拡散されやすい。繰り返される情報はたとえ誤りであっても記憶に留まりやすく、自分が受け取る情報は大抵正しいという認知バイアスがある。イギリスのEU離脱も、トランプ現象もそれを利用していたし、イスラエルのハマスへの認知戦も、ロシアとウクライナの戦争でも国際社会の支持を得るためのナラティブの戦いである。人はナラティブを求めてしまう。2024/05/11
どんぐり
85
人の心をつかみ、人を動かす力をもつナラティブ(語り、物語)。ウクライナとロシアの戦争、イスラエルとハマスの戦闘で、ナラティブを合体させたSNSが「情報兵器」となって使われ、相手を称賛したり誹謗中傷したり世界の分断は深まるばかりだ。安倍元首相を撃った山上被告の旧統一教会の被害者ナラティブに、映画『ダークサイト』のジョーカーのインセルの物語が重なる。「コレクティブ・ストーリー」もあれば、自分の信念を固める情報ばかりを集めてしまう「確証バイアス」もある。→2024/08/18
ネギっ子gen
65
【ナラティブは人間の感情をかき立て、個人を、そして社会を突き動かす。人間を孤独にも憎しみにも、連帯にも慈しみにも駆り立てる】国内外で起きた事件や現象の背後に潜むナラティブのメカニズムとその影響力を解き明かす。<私たちはナラティブに囲まれて生きている。それにもかかわらず、ナラティブがいかなる力を持ち、私たちをなぜ、どのように動かすのか、そのメカニズムを知らない。本書は、私自身がナラティブとはいったい何か、なぜ人を虜にするのか、という疑問にとりつかれて始めた調査の記録であり、「ナラティブの物語」である>と。⇒2023/09/16
たま
57
読メで教えられて読んだ。宗教神話文学と物語論に興味があって表題の「ナラティブ」に惹かれたのだが、この本は著者が新聞記者だけに分析の対象が幅広く現代的。ナラティブについての研究書を論じるだけでなく、研究者や活動家へのインタヴューを試みる。新聞や雑誌の記事を読んでいるようでヴィヴィッドではあるが一読しただけでは読後感が散漫になってしまった。世界が余りに複雑になった今、聞きかじりを都合良く綴り合わせ自分の世界観にしている人は多いし、その危険は私にも。。。と自戒。いずれメモを取りながら再読したい。2023/11/08
とよぽん
44
大治朋子さんの著書を読むのは初めてだった。大衆を導く(扇動する)ナラティブ=「物語形式」の、恐るべき力に驚かされた。日本の軍国主義だけでなく、世界中の戦争や紛争、革命、テロ、暴動、虐殺などがことごとく「物語」に力を得て動かされ、首謀者の思い通りに操られてきた。根拠とする著述や談話の引用がきちんと示されているので、説得力がある。SNSがさらに「物語」の力を増強させており、この先の世界が心配。2.5人称で語る・・・これが今後の世界を左右する鍵か。2024/08/11
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