内容説明
公安調査庁に中国のスパイがいる。24時間監視下で7カ月の監禁生活、取り調べ、逮捕、裁判、収監…日本の常識がいっさい通用しない不当拘束の実態が明らかに。身に覚えのない罪で6年の実刑判決を受けた日中青年交流協会・元理事長による迫真の手記。
目次
プロローグ
第1章 中国に魅せられた青年時代(学生時代に芽生えた日中交流への熱い思い;日中交流に人生を賭ける決心をする ほか)
第2章 希望を奪われた拘束生活(居住監視下で迎えた還暦の誕生日;スパイ容疑で正式逮捕、居住監視から拘置所へ ほか)
第3章 中国社会の腐敗がはびこる刑務所生活(一つしかないトイレは早い者勝ち;拘置所で次々と耳にした驚愕の事実 ほか)
第4章 日本政府はどう動いてくれたのか(大使館も弁護士も助けてはくれない;届かなかった伝言 ほか)
第5章 どうする日中関係(今こそ求められる日中の民間交流;強硬姿勢を貫く中国、高まる懸念 ほか)
エピローグ 拘束された6年間をこれからも語り継ぐ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
86
スパイ容疑で2279日間拘束されていた著者。いきなり中国公安局に連行されたという。具体的な容疑は中国人との北朝鮮に関する会話が原因とされる。しかしそれだけではなく、親中派でもある彼は常に監視対象になっていたようだ。日本にも中国にも他世界各国のスパイはお互いを監視、情報収集をしているのは間違いない。知り合いから中国に行った時は安易に政治の話やなんでも写真に撮ってはいけないと聞いたことがある。本を読んで知ったのはこんな場合、大使館というところは、頼りにならないということ。図書館本2024/10/17
きみたけ
48
著者は、中国でスパイ活動をしたとして2016年7月北京市国家安全局に拘束され、懲役6年の実刑判決を受け、2022年10月に刑期を終えて出所し日本に帰国した、日中青年交流協会元理事長の鈴木英司氏。突然「スパイ」という身に覚えのない容疑で拘束され、監禁生活・取り調べ・逮捕・裁判・収監と、日本の常識がいっさい通用しない不当拘束の実態を公にした渾身の一冊。今後の日中関係のあり方、日本の役割についても言及しています。にしても中国の「反スパイ法」はムチャクチャ、あり得ないです。。2025/02/16
すしな
40
108-24.親中派の人でもスパイ容疑で拘束されてしまうという嘘のような本当の話でした。まあでも、スパイ容疑で拘束されるということは、言うときは言いにくいことでも言ってしまうタイプの親中派なんだなと言うのが本の端々から伝わってきました。逆に中国当局のハニートラップにかかった感じの親中派が、公安調査庁から中国に情報を流していたり、ろくに仕事をしない外務省の人なのでしょうね。日本は大丈夫かー?と思う反面、中国は中国でそう言う知中派を大事にできない今の政権は大丈夫なのかなぁ?と思ってしまいました。2024/12/16
TATA
37
中国で六年間の拘禁生活というあまりにも凄まじい経験について語る。日本の常識で考えればどうやっても受け入れられないことばかり。一国に深入りしすぎるとこういったことになりかねないということか。2023/08/25
Kolon
7
理不尽な理由で外国人を逮捕、監禁、収監する国、これが独裁者が統治する国に法治の有り様だ。 著者は人生全てを日中友好に捧げたと言って過言ではないが、そうした行為を無にする国が中国の現実だ。 著者の指摘通り日中の貿易関係は比重の重い分野だが、独裁国家と民主主義国家の食い合わせが良いはずもない。結局両国は双方の国益の一致する部分だけで噛み合わておくしかないだろう。 著者は自身の体験を踏まえて中国に厳しい視線を送るが、それでもまだ日中関係に漠然とした夢を抱いている辺りは親中派の哀しい性を感じた。2023/08/06