出版社内容情報
重要な記録は隠す、残さず、そもそもつくらず─
森友・加計問題から桜を見る会まで、安倍政権によってさらに加速する日本の公文書の危機を描く。
内容説明
「森友・加計学園」や「桜を見る会」の問題で明らかになった、公文書の軽視。現政権によってエスカレートする民主主義崩壊の実態に迫る。
目次
序章 霞が関の常識
第1章 不都合な記録
第2章 ファイル名ぼかし
第3章 記録を捨てた首相
第4章 安倍総理の記録
第5章 総理執務室の内側
第6章 官尊民卑
第7章 官房長官の“ウソ”
第8章 官僚の本音
第9章 謀略
終章 焚書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
73
法治国家である以上、法的根拠と倫理的根拠は区別して議論するのが前提。掲載の有識者の面々からは、文科省元事務次官・前川氏が最も客観的&論理的。隠蔽から文書管理への論点のすり替え、官民を問わない未記録”文化”、そして、口利きなど官民持たれあい文化。これらに対する著者の見解が、不明確・未記載である点は、どのように租借すべきなのかと考えてしまう。管理規定を5W1H+αで明文化することが本件の大前提。「300円テロ」発言が象徴的だが、FOIA-1996と比較しても20年以上無策の日本。河野大臣、結果を出して下さい。2020/10/13
彼岸花
31
安倍政権下における一連の公文書問題。森友・加計、桜を見る会と、遠のいてしまった感は否めないが、尊い命が奪われている事実に平常心は保てない。菅首相が、官房長官という権力の中枢に居座り続け、隠蔽体質は今後も変わることはないのだろう。国立公文書館の存在さえも、情報公開請求を回避する策をとり、国民を欺き、機能不全に陥ってしまっている。『官尊民卑』の意識を変えられない官僚。それを巻き込み利用している現政権。我々は、未だ蚊帳の外。「公文書の危機は、民主主義の危機そのもの」という言葉が重かった。崩壊に近いのだろうか。2021/01/19
ハルキゲニア
12
森友・加計・桜を見る会を巡り、国会で繰り返された「記録がない」「文書が残ってない」という答弁。本来残されるべき文書が、どのような理屈で「無い」ことにされているのか。議員や官僚、元総理に対して取材を行い、文書管理のずさんさとその原因を明らかにしていく。自分達にとって不都合な記録を「公文書」から外し、理屈をつけて残さない仕組みを作っているとしか思えない。2022/12/24
takeapple
12
日本の政治家、特に与党議員や閣僚、官僚が自分たちの既得権益を守るために記録を取っていないか、法令を都合の良いように解釈したり骨抜きのガイドラインを作って国民を欺き、民主主義国家を装っているか、この公文書危機に書いてある。改竄、隠蔽、論点ずらしは安倍政権の得意技だが、実は日本の政治風土に根ざし大きな問題であることがわかってくる。記録を残すこと、それを丹念に読み解く力を国民が持つこと、アメリカ並みの文書管理にしないと始まらないと強く思う。広く読まれるべき一冊。ここまで取材した毎日新聞記者たちに敬意を表します。2020/08/22
Sumiyuki
11
あとは野となれ山となれ的な、後世への責任感のない国家。官邸の人事権掌握も一因のようだが、敗戦時、情報公開法施行時、そして政権交代時にも公文書をもみ消そうとしてきた根深い問題。@極端に言えば、政治家や官僚は総理大臣はまちがった決定をしない存在だという前提に立っている(御厨氏談)2020/12/08