出版社内容情報
痛んだ者、弱き者、瀕死の者へのいつくしみと、非道な統治への報復。辺見庸が全身全霊を賭けた詩的な蜂起。
目次
1 夜がひかる街(おばあさん;グラスホッパー;屁;アキノウナギツカミ;夜がひかる街)
2 あの黒い森でミミズ焼く
3 骨(声;路地;馬のなかの夜と港;骨)
4 純粋な幸福(番う松林;市内バス;火事;点滅)
著者等紹介
辺見庸[ヘンミヨウ]
1944年宮城県石巻市生まれ。70年共同通信社入社、北京特派員、ハノイ支局長、外信部次長などを経て96年退社。78年中国報道により日本新聞協会賞受賞、87年中国から国外退去処分を受ける。91年『自動起床装置』で芥川賞、94年『もの食う人びと』で講談社ノンフィクション賞、2011年詩文集『生首』で中原中也賞、12年詩集『眼の海』で高見順賞、16年『増補版1★9★3★7』で城山三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
27
言葉が踊っている。「リアル」な感覚で捉えられた、この国にあふれている言葉やこの国で見えてくる情景をそのまま「なぐり書き」で、小賢しい技巧を捨てて(がしかし、その無造作さの中に高度な戦略性を溶かし込んで)書ききっているなと思ったのだ。読み終えて、確かにこのぼく自身の見る光景までも歪んだような気になった。あるいは新たなチャンネルが開かれたとさえ感じ、あらためて辺見の「幻視者」としての資質や聴覚の鋭さ、言葉や異性へのエロティック/フェティッシュなこだわりについて学ぶ。この言葉、「朗読」してみたらどうなるのだろう2023/08/22
hasegawa noboru
18
2019年9月刊の詩文集。積読本。<たぶん、老いとは主観と身体の無自覚な乖離にはじまる>。身体の衰耗と衰微。<経年劣化><底なしの気鬱のないところがいま、どこにあるだろうか。世界の実相は気鬱にみちている。それなのに、老いも若きも総理大臣も天皇も、そうではないふりをしている。><気鬱をはらうには怒り狂うより他にはない。狂気といわれようが、怒気をあらわにしてなに悪かろう。>(初出・書き下ろし「グラスホッパー」)その狂気はみんなして穏やかに忌避されることでしょう。分かりすぎるからこれは詩ではない、エッセイ。2024/07/26
ophiuchi
9
ノンフィクションのイメージがあったので、こんなにシュールな小説だとは思わなかった。2019/10/24
魚53
3
ある意味爆弾。テロのような詩集。2023/05/06
Maumim
2
老いてもなお、健在。2019/10/08