出版社内容情報
「怒りのリベラリスト」と「保守の最強論客」がついに激突!話題必至、天皇制・歴史問題・憲法などをテーマにした白熱の闘論の記録。
内容説明
天皇制、歴史問題、憲法九条。タブー一切なし!両派の最強論客が日本の「正義」と「真理」を追求した白熱の9時間!
目次
第1部 天皇制―理念か伝統か(初対面;カタカナ左翼;アイデンティティ・クライシス ほか)
第2部 歴史認識を問う(侵略と敗北;戦争と転向左翼;「祖父」の視点 ほか)
第3部 憲法九条と思想の貧困(リベラルのイメージ;民主主義の「醜さ」;大衆の「劣化」 ほか)
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
1954年、大阪生まれ。東京大学法学部卒。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授(法哲学)。日本を代表する法哲学者で、リベラリズム論の第一人者。『共生の作法―会話としての正義』でサントリー学芸賞、『法という企て』で和辻哲郎文化賞を受賞。2009~13年、日本法哲学会理事長
小林よしのり[コバヤシヨシノリ]
1953年、福岡生まれ。漫画家。大学在学中に『東大一直線』でデビュー、たちまち人気ギャグ漫画家となる。アニメ化されたヒット作『おぼっちゃまくん』で小学館漫画賞を受賞。1992年連載開始の『ゴーマニズム宣言』は、社会派漫画、思想漫画として話題に。以来、保守論客として、常にその言動が注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
355
確かにこれほど議論をしている感じは他の本には見られないなと思った。お互いの考えもどこかから仕入れてきただけの意見ではなく、自分の頭で咀嚼して発言している感じがした。本来有権者一人一人が自分なりの考えを持って他者と議論し合いながらお互いを高めていくのが、いいんだけど実際は誰かの意見に流されたり運動家になったりしてしまうんだろうな。小林よしのりの本はよく読んでいたが、井上達夫の本も読んでいきたいな。2017/01/31
Y2K☮
46
唸った。たとえば天皇制に関して。特権階級だからという従来の左翼思想ではなく、御不例時の過剰な自粛等における同調圧力の少数者差別への波及と皇族の自由の無さを慮るが故の廃止論。或いは九条削除論。憲法に規定が無いと却って軍の暴走を招くという視点。米軍基地に対する本土の偽善的姿勢への怒りも含め、リベラル=薄甘い理想主義という誤解を正された。井上氏の支持者が読めば、小林氏がメディアの書き立てる様な危険人物ではなく国柄を守る平和主義者と気づくはず。まさにウィンウィン。いま必要なのはデモではない、馴れ合い抜きの議論だ。2016/11/12
Y2K☮
35
井上氏は天皇制廃止と9条削除。よしりんは女性宮家設立と女系&女性天皇擁立、そして専守防衛の立憲的改憲。昭和天皇の戦争責任など主張が真っ向からぶつかるテーマもあるが、どちらも井上氏が云う「正義概念」を持っているから話し合いは常に建設的。議論の目的は相手を言い負かす事ではなく誤謬を指摘し合って互いが成長する事。読者はそれらを止揚し、己の考えの土台とする作業を求められる。私見では今の日本人の知的成熟度だと天皇制はまだ必要。9条に関しては徴兵制と良心的兵役拒否を伴う井上案に唸りつつも、やはり立憲的改憲を採りたい。2019/08/10
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
26
【図書館本、1回目】知名度においては、圧倒的な優位を誇る「ゴー宣」よしりんと、「リベリベ」(※)井上達夫が禁断の激突!と思いきや、意外に一致点が多かった。結局、「保守」も「リベラル」も、寄って立つ基盤がグダグダになっており、井上の言っていた「私が考えるリベラリズムの基本は、他者に対する(フェアネス)です」が、ほとんど唯一の言明であったように思う。扱った問題は多岐に亘る。「保守」「サヨク」のレッテル貼りによる互いの貶めが、いかにくだらないことかがわかった。2017/08/30
那由田 忠
23
井上のディベート論は相手を潰すことしか見ていない。対立論の論争から学ぶのがディベート。この本は確かに議論。憲法論に注目。憲法が一般的法律を超えた共存の仕組みという正しい意味の立憲主義から、9条が特定の安保政策を示すので削除し戦力を縛る条項を加えるという井上流創憲を唱える。しかし、9条の絶対平和主義的な解釈は9条だけ見るからで、政府に生命を守る義務があるという13条から自衛組織が必然とされる。絶対平和主義的解釈しか認めないという、出発点を固定する理由が見えなかったが、天皇論など非常に面白かった。2017/12/31
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