内容説明
祖国を離れ闘った女と、栄光を得て全てを喪った女。芸術家・文化人は国家権力とどのような距離をとるべきなのか。五輪、戦争、そして廃墟―。才能と運命に翻弄された女たちの物語。
目次
第1章 舞姫
第2章 聖山
第3章 天使
第4章 聖林
第5章 政権
第6章 大会
第7章 祭典
第8章 前夜
第9章 戦争
第10章 廃墟
終章 一九六〇年
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社IPCの編集長として写真集を中心に美術書を編集、ソ連の出版社とも提携した。後、出版社アルファベータを設立し、代表取締役編集長に(2014年まで)。ドイツ、アメリカ等の出版社と提携し音楽家や文学者の評伝や写真集を編集・出版。クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどの分野で旺盛な執筆活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
15
1901年生まれのマルレーネ・ディートリッヒと、1902年生まれのレニ・リーフェンシュタール。かたや映画女優、かたや映画監督。ほぼ同年にドイツで生まれた二人の女性の生涯を比較しながら、芸術家は国家権力といかに距離を取らなければならないかを主題とする『オリンピアと嘆きの天使』。中川右介の意気込みとは裏腹に、本書には始終、もどかしさが付きまとう。本書は、二人が書いた自伝を史料としているのだが、自伝ゆえにそこに書かれていることを鵜呑みにできない危うさに中川は自覚的ではあるものの、(つづく)2016/08/10
Gen Kato
0
レニ・リーフェンシュタールとマルレーネ・ディートリッヒの映画人としてドイツ人としての人生を追った、スリリングかつ刺激的な一冊。完全な同時代人でも、生き方はことごとく対称的。歴史を知るってこういう切り口もありなのか、とぞくぞくさせられた。(オードリー・ヘップバーンと原節子も絡んで来る。けどメインはレニとマルレーネ)2016/05/16