内容説明
日本国内にファシズム体制ができ上がり、中国に対する軍事的膨張に突入していく時代に、天皇はどう対峙したか。戦争に批判的な立場をとりながらも軍部に押し切られてゆく天皇の姿を克明に描き出す。『昭和天皇実録』解読シリーズ第3巻。天皇と「戦争の時代」を、再び戦争に傾く戦後70年の状況のなかで考察する瞠目の論考も収録。
目次
序章 戦争に追いこまれていく天皇
第1章 二・二六事件前後(国体明徴運動、永田鉄山惨殺、そして二・二六事件へ;軍事独裁は天皇抜きで進められた;天皇は「徹底鎮圧」に加え「戒厳令の悪用」に警告 ほか)
第2章 日中戦争の時代(拡大する日中の戦火;天皇の政治責任をどう回避するか;軍部の拡大に対する天皇と近衛の意思とは ほか)
第3章 天皇と日中戦争・太平洋戦争(天皇は皇位、皇統を守ることを第一義としていた;中国への偏見に天皇は不満を持っていた;日本の軍事主導体制は、天皇の意思を抑圧することで成り立っていた ほか)
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家。評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。昭和史の実証的研究のためにこれまで延べ4000人の人々に聞き書き取材を行い、独自の執筆活動を続けている。第52回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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