内容説明
「太郎」という仮名のまま施設で暮らしていた男性の家族との劇的な再会、線路に迷い込み轢死した男性の家族にのしかかった巨額賠償請求…。大反響を呼んだ、さまざまな人間ドラマとともに、「認知症のいま」をあぶり出し、社会を動かした渾身のキャンペーン。2014年度新聞協会賞・菊池寛賞ダブル受賞!!
目次
鳥かごの家から(高齢者を囲い込み;リハビリもできず ほか)
ある老健より(老健、みとりの場に;選別され、出ては戻り ほか)
閉鎖病棟から(自由奪う抑制帯;残る家族も癒えぬ傷 ほか)
「太郎さん」(仮名2年、認知症男性、身元不明のまま;「私」知る人どこに ほか)
JR認知症鉄道事故訴訟(特集ワイド 認知症事故と損害賠償;記者の目 認知症の人の事故防止、国は十分な情報収集を ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
25
介護保険制度では訪問介護は身体介護と生活援助に分かれ、利用時間で報酬が決まる(32頁)。厳しい仕事だと思う。私には資格がない。18時前出勤、一息つけるのが2時。仮眠取れずに朝食準備(51頁)。介護する人が寝込んでしまう理由。認知症862万人(125頁~)。脳血管や脳細胞の障害で記憶力、判断力低下。生活に支障が生じる状態(126頁)。不明1万300人(147頁~)。厳しい時代に突入してきた。人道配慮必要とはいえ、GPSとかどこかに付属させておくことが捜索に役立つとも思える。2015/02/17
こうちゃ
21
毎日新聞特別報道グループの緻密な取材による、新聞に掲載された記事の数々。そのうちの一つの記事により、身元不明のまま施設で暮らしていた男性が家族と劇的な再開を果たしたことは記憶にある。そして、そのことにより、警察や行政のありかたが僅かながらも変わりつつあることは良いことだと思う。線路に迷い込み轢死した男性の家族に巨額裁判請求の記事には憤りを禁じ得ない。今や他人ごとではない〔認知症のいま〕をあぶり出し、社会を動かした渾身のキャンペーン。新聞協会賞・菊池寛賞ダブル受賞に納得。2015/03/05
おさむ
19
予備軍を含めると、高齢者の4人に1人は認知症。ニッポンの国民病の周辺を取材した佳作。介護人材や施設の少なさ、精神病院という緊急避難。増加する行方不明や交通事故等、課題は山積み。ただ、途中の新聞記事を並べただけの部分はいただけませんでした。2015/06/13
ヒラP@ehon.gohon
6
徘徊不明者の実態、介護家族の苦難、身元不明者を作り出してしまう社会構造、事実から語られる問題提起に唸ってしまいました。徘徊者を出してしまった家族に、幾重もの責任を押しつけられる不条理に、早く社会理解が追いついていかなければいけないと思います。2016/01/31
小島輝彦
5
徘徊高齢者、行方不明の話。メールなどを活用した地域ネットワークなどがあったりもするが、こういう本を読むと改めて身近に、というかリアルに感じる。介護や認知症の課題は様々にある。勉強していこう。