内容説明
池田晶子と出会った20人。小林秀雄への尽きぬ想いとともに、「サラリーマンの皆さん」「お医者さん」「ニーチェさん」「ヘーゲルさん」など、考える人々を生き生きと読み解く人物批評。初期の名著を、新編集で復刻!
目次
1 メタ…(小林秀雄さん―惚れる!;ソクラテスさん―現実とは ほか)
2 フィジカル…(学者さん―無用を生きる;東大の皆さん―この「技法」は本物か ほか)
3 パンチ!(同世代の皆さん―ぬるい精神;埴谷雄高さん―不可能ゆえに書く ほか)
4 投函されなかった恋文(小林秀雄への手紙(第一信;第二信))
著者等紹介
池田晶子[イケダアキコ]
1960年(昭和35年)8月21日、東京の一隅に生を得る。1983年(昭和58年)3月、慶應義塾大学文学部哲学科倫理学専攻を卒業。文筆家と自称する。池田某とも。「哲学エッセイ」を確立し、多くの読者を得る。2007年(平成19年)2月23日、癌により没す。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Asakura Arata
7
若い頃の作品だけあって、文章内容い勢いがあり、読んでいて爽快になる。哲学するのに、最初は書物はいらない。考えぬいた後、本を読むのが良さそうだ。2022/08/30
Ryosuke Kojika
5
タイトル通りパンチが効いている。「考える」ことをはじめてから1年ぐらいか。「考える」人にも2通りがあり、「考えよう」とする人と「考えざるを得ない」人との隔絶を知らしめられる。私は明らかに前者だろう。後者たらしめる「驚き」という衝撃を受けてはいないが、じわじわとこみ上げる「なぜ」を直観はしている。著者が指摘するところの「考える」才能はないであろうが、かとて「考える」こと自体に差はないだろう。才能ある人の「考え」を借りながら本当についてわかりたい。2019/06/21
Asako Nakamura
5
筆者の言いたいことは常に一貫していて、それでいて飽きることがない。はまっています。2015/06/21
ジョンノレン
4
項ごとに人物や群を特定し、手際良く見事に分析し、その世間的評価とは異なる位置に置き直す。その対象全てについて良く知っている訳ではないが、無責任に痛快であった。ただ他の著書と同様、科学者に対する認識、物のみを対象にしているとして、これを俎上から敢えて外そうとするスタンスには抵抗を感ずる。最先端の量子物理もまたフィジカルサイドから必死に存在の神秘に対峙している故、フィジカル以外のブラッキーなものや、物の微細レベルの不可思議な振る舞いを明らかにするに至っている。形而上・下いずれも仮説の域を出ないから考え続ける。2022/02/10
Chie Azuma
4
「正義」とは何か?「死」とは何か?常識過ぎて考えもしないことを、改めて突き詰めて考え出すとどんどん心細くなってしまう。権威ある著名人に答えを与えられるとそれを鵜呑みにして安心できる。そんな思考停止を叱ってくれているように感じた。心細くても自分で考える。そうすると孤独感や不安感が強くなっていく。じゃあどうすれば?突き詰めたら「自分は宇宙」の感覚まで辿り着けるのか?それは結局また他人の思考を真似しているだけなんじゃないか?堂々巡りが止まらなくなりました。2017/09/30