内容説明
容赦のない迫害の日々にあって、ユーモアの精神を失わず、正常な心でくぐり抜けてこられたのはなぜだろう。私たちに強い連帯の心があったからだ。そのおかげで、私たちは背筋をまっすぐに伸ばし、苛烈な弾圧にあっても前進をあきらめずにいられた。自宅軟禁解放後初の長期連載エッセイ。
目次
第1章 1997年1月6日~1998年6月1日(新年事始め;独立から連邦へ;夏;闘う女孔雀 ほか)
第2章 2011年1月1日~12月24日(今日と向き合おう;名もなき英雄たちよ;動物の話;日本のみなさまへ ほか)
著者等紹介
アウンサンスーチー[アウンサンスーチー][Aung San Suu Kyi]
ビルマ(ミャンマー)の民主化運動指導者でありノーベル平和賞受賞者
土佐桂子[トサケイコ]
1957年生まれ。大阪外国語大学ビルマ語科卒業。同大学院修士課程、総合研究大学院大学(国立民族学博物館付属)博士課程修了。82~84年、文部省留学生としてビルマに留学。神戸大学国際文化学部助教授、東京外国語大学外国語学部教授を経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
永井浩[ナガイヒロシ]
1941年生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業後、毎日新聞記者として外信部、バンコク特派員、編集委員などを歴任。現在、神田外語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
22
少数民族は多数派のビルマ人に不信感を抱いている(29頁)。表現の自由のないビルマはうわさの国(34頁)。お寺をデートで闊歩するが、彼らの脚は裸足である(55頁写真)。靴を履かないでも大丈夫な地面だからか。新しい認識の時代の始まりが、新しい社会に向かう制度的変化の道へ通じる扉を開く(57頁)。2週間に1度、本と作家について議論。本が手に入りにくい。図書館ではそうは本を貸し出してくれない模様(98頁)。であれば、国際協力で本を送るという手法もあるだろう。Amazonギフト券とするなど。 2014/09/04
takao
3
ふむ2024/04/07
springhelp
3
軍事政権の監視下を意識させないような実に知的で流麗なお手紙。文章からは、スーチーさんの聡明さだけでなく、温かな人柄も感じることができる。NLDが受ける理不尽な弾圧。それに、負けない屈強な精神。 人がその生涯を閉じる時は、いつだって悲しい。しかし同時に、人がこの世における旅を成就したと思えば、それは喜ぶべきことであり、驚きに値することだと思う、という一節がなぜかとても気に入った。笑 2012/05/09
メルセ・ひすい
3
15 とりあえ 強い連帯の心があったから、容赦のない迫害の日々を、正常な心でくぐり抜けてこられた。私たちは背筋を伸ばし、苛烈な弾圧にあっても前進をあきらめずにいられた…。自宅軟禁解放後、初の長期連載エッセイ。2012/05/08
ゆうゆう
2
毎日新聞で掲載されていたスーチーさんからの『手紙』。祖国ビルマへの想いが、意志が、憤り、哀しみが、綴られる中に、日常が垣間見る事が出来る。『日本のみなさまへ』は多くの人に読んでもらいたい。遅まきながら、初めて読んだが。世界で日本へ祈ってくれる人たちがいる。物質だけでなく、心で寄り添ってくれる。これもまた、受けた支援。2013/12/22