出版社内容情報
『マークスの山』『レディ・ジョーカー』『冷血』の合田雄一郎シリーズ、待望の文庫化!12年前、元美術教師が殺された未解決事件。当時の捜査責任者合田の胸に、後悔と未練がくすぶり続ける。そこへ、思いも寄らない新証言が--。
内容説明
15歳の朱美はいつ私たちの人生から消えたのか。嫉妬、好奇心、嫌悪、懺悔…人びとの証言から「あの日」の少女が姿を現していく。「朱美は、本当は何になりたかったのだろう」。露わになった現実に押し潰されんとする者たちが掴んだ真実とは。不完全なる人間の社会、人生の冷酷と救いを圧巻の筆致であぶり出す傑作!
著者等紹介
高村薫[タカムラカオル]
1953年、大阪市生まれ。90年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、93年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞。同年『マークスの山』で直木賞、98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2006年『新リア王』で親鸞賞、10年『太陽を曳く馬』で読売文学賞。17、18年『土の記』で野間文芸賞、大佛次郎賞、毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coldsurgeon
9
定年が近づいた合田雄一郎刑事のやり残した未解決事件の解決への道を探る物語。前半に続いて、事件発生時の少年少女たちの動きが、それおぞれの記憶の底から、明らかにされる。真相は明確には示されないが、なんとなく、事の次第が明らかになる。読後にすっきりとした感覚はないが、こんなものなのだろうか。2025/05/26
きょん
7
ある絵画教室の元美術教師が野川公園で殺された。12年後、その教師に目をかけられていた少女Aが同棲相手に殺される。それをきっかけに前の事件の再捜査が始まる。少女Aの同級生たち、家族、絵画教室の教師の家族、人間関係が絡み合い、皆が12年前の記憶を呼び覚まされていく。殺人事件のあと、日常に紛れているようでいて、やはり人の死は皆の心に波紋のようにいつまでも広がり、空気を震わせている気がする。果たして少女Aは犯人だったのか。同じ今を共有する関係者たちの心象風景に切ない気持ちにもなった。2025/06/09
himanaka
5
「我らが少女A」という言葉で、その時代に共に生きた人々がつながり、心象風景をそれぞれに描き出す。そこには確かな時代がある。それにしても、登場人物は12年前のことをよく覚えているなあ。記憶力の弱い時分には、去年のことですら一つも思い出せないけど。2025/06/11
senyora
5
久しぶりの高村薫作品。う~~~ん!忍君の最期、哀しすぎる。時代を描いているのかな?ネットでは個人情報が簡単に広がってしまうのね。2025/05/26
Steppenwolf
3
Bなんとも面白くない結末であった.登場人物も例えば元捜査主任合田を登場させる必要あったのか?結局12年前の事件の事件が女性殺害事件の犯人の一言から急に昔の事件の再捜査が始まってもなんの進展もなくただだらだらと当時の関係者の心の動きを記述するだけであった.作者の作品だけに期待して購入したが私の好みから言えば裏切られたとしか言えない.2025/05/11
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