出版社内容情報
現代日本文学における稀有な才能・阿部和重による至高のエンタメ巨編。
一触即発のリアルな国際情勢を背景にくりひろげられるスリルと<愛>の物語。
タイトルは「ブラック・チェンバー」(秘密情報部)と「チェンバー・ミュージック」(室内楽)をつなげた造語。
内容説明
「危険ですから、横口さんは手を引いてください」。“極秘任務”が打ち切られ、ハナコは姿を消す。横口は彼女を連れ戻し、自分の思いを伝える。命を狙われる身となった横口は、無事ハナコを逃がすため一か八かの賭けに出る。固い約束を交わす二人をさらなる悲劇が襲う―分断された世界に抗う男女の怒涛のラブストーリー、興奮と感涙の完結編。
著者等紹介
阿部和重[アベカズシゲ]
1968年、山形県生まれ。94年「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。99年『無情の世界』で野間文芸新人賞、2004年『シンセミア』で伊藤整文学賞・毎日出版文化賞、05年『グランド・フィナーレ』で芥川賞、10年『ピストルズ』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちぇけら
12
横口健二が手を伸ばす、その先には必ず光が差し込んでくる。横口健二は相変わらず阿呆である。しかし横口健二にはまるでないのだ、他人を出し抜き、自分だけがいい思いをしようとする邪な心が。横口健二は、ただ自分に降りかかった出来事に懸命に向き合い、守るべきたいせつなひとを懸命に守る、そんな阿呆なのである。だからみな横口健二から目を離せない。放っておけない。だから横口健二が光に向かって手を伸ばしたとき、かれらもまた手を伸ばすのだ。愛とは本来そういうものではなかろうか。ただ懸命に生きるひとが伸ばした手に宿る、暖かい光。2024/11/24
練りようかん
9
前科持ちの映画監督ケンジにヒッチコック評論の全文入手を持ちかける反社の沢田。ジュリーじゃん!と頭の中を通過し、依頼のやり取りは落語のような軽妙なリズムで笑いと信頼できぬ匂いが漂う面白さに引き込まれた。謎は沢山、暗中模索と思いきや意外にもツテがつながりずんずん進むのだが、牽引力になるのが主人公の“早とちりで人にケチつけるクセ”なのがユニーク。特に宝探しの場兼隠れ家になるすずらん通りの古書店という舞台と濃い脇役が好きだった。それこそ映画化したらと思わせる場面の立ち方で、スリルと暗号回収が良かった。2025/02/14
ソラ
4
【読了】C 著者の初期傑作選みたいなのを読んだ時は合わないかもと思ったが、この作品は読み心地がよくてまた他作品も読んでみたくなった。2025/01/03
ほのみ
1
北朝鮮からの密使と共に、国家機密に関わる極秘任務に取り組むというスケールの大きな展開 命の危機に晒され、犠牲者も出る この発端となったのがこんなことなの?って‥ 虚構がいつの間にか現実と混ざり合う恐ろしさ 一触即発のスリルの中にものすごい優しさとユーモアがあり、そして愛のある物語 よかった2025/02/23
ヨシオ・ペンギン
1
終わり方が素晴らしすぎる2025/02/18
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- 和書
- 私刑執行人 徳間文庫