内容説明
「不思議と、どんなに疲れていても、家に帰ったら料理をしたくなるんです。そのときは絶対煮込み料理ね」。日本茶喫茶店主の台所、今はなき阿佐ヶ谷住宅の台所、多国籍シェアハウスの台所、七十代・ひとり暮らしの台所、インドマニアの台所、ホームレス夫婦の台所…暮らしの現場から描かれる、50人の“食と人生”の物語。単行本を加筆・再構成した決定版!
目次
おしゃべりな台所
1 三十二人の台所物語(深夜のガスコンロ前はくつろぎの指定席;街にとけこむ文化住宅。美の基準はすべて自分たちの中に;器やカラトリーを許可制で買う絶妙バランス夫婦;消え行く阿佐ヶ谷住宅夢のあとさき;好きな人が生まれ育った街の味を追い求めて ほか)
2 台所図鑑(頭の中の九十八%が音楽という二十三歳の命綱;品川の街にとけこむ多国籍シェアハウス;大工が得意な夫と料理好きの妻。定住型ホームレス夫婦;履き倒れの器好き。粋人の昭和空間;フェラーリレッドの元気が出る台所 ほか)
著者等紹介
大平一枝[オオダイラカズエ]
長野県生まれ。編集プロダクションを経て1994年独立。市井の生活者を独自の目線で描くルポルタージュコラムおよびエッセイを執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sazen
13
購入してから、短期間に何度も眺め返した本。外出先に持っていくのにも適当で、気に入っている。けれど、やっぱりこの手の写真は全部カラーで見たかったなぁ。制作予算や価格設定的に無理だったのでしょうけど…。私は台所仕事は必要最低限しかしたくないけれど、本当は台所という現場に意識を置ける人生のほうが、得だよなぁ。愛せるかどうか別として。「誘惑に負けてちょっと片付けちゃいました」と言う取材相手の台所を見て「えっと、どの辺を?」と素直に反応している著者が、ナイス。2025/02/26
えつ
11
家族構成や、仕事、その人の人生を台所を通して覗き見。 こんなに人の台所を見られる機会ってないから、ものすごくワクワクしたし、楽しく貴重な時間をありがとう!って思った。それにしても、台所って家庭ごとに全然違くて面白い。ごちゃついてるなーって思っても、きっとものすごく使いやい配置だったりするだろうし、食器のこだわりがある人ない人もいて本当に面白い。わたしもこれを機にキッチンを使い勝手よくしたいなぁ。配置考え直そう。使うのほぼ夫だけど。笑2024/09/17
gorico
9
NHKあさイチで放映した大平さんのルポに心動かされ、私にしては珍しく(笑)購入した本。シングルマザーの台所、夫を病で喪った女性の台所……テレビを見たとき、わけもなく涙が出た。何てことない台所から生まれるドラマがどこの家にもある。人間、生きてる限り食べずにはいられない。そこに暮らす人の生き様が顕著に表れるのが台所なのかもしれない。そんな台所でほとんど料理をしない(のみならず、外食や飲み会もめったに行かない)という23歳ミュージシャン♂の行く末はやや心配だが、それも彼の現在地なのだろう。2024/12/06
Nobuko
8
台所は人生そのもの2024/04/05
misato
7
台所の物語って面白い。みんな何かしらの思い出がある。わたしが寂しさを感じてしまったのある種台所のせいかもしれない。でも、生活に必要不可欠なんですよね、私にとって。2025/04/29