出版社内容情報
知られざる幕末の偉人。平和的開国に尽力した伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍。
開国を拒めば戦争だ―――
いち早く「黒船」を予見し幕府に海防強化を訴え、江戸湾台場築城を指揮し平和的開国を実現。
近代日本の礎をなった異能の名代官。
明治維新から150年余年。新たな幕末小説の誕生!
内容説明
ペリーの開国要求に騒然となる幕府中枢。幕閣の議論もついに膠着した時、老中・阿部正弘が言った。「江川太郎左衛門を呼び出せ」。英龍ほどこの時を予見し、何をなすべきか飛えていた幕臣はいなかった。一刻の猶予もないなか、あらゆる責務を任された英龍の才気がほとばしる。地元伊豆と民を愛し、デモクラシーを夢見た異能の行政官の一代記。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年、北海道生まれ。79年「鉄騎兵、飛んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年、日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rokubrain
20
幕末の激動の時代は薩長主導の動きに注目が集まりがちだが、実際の”夜明け前”は、近代化に向けて、まず幕府体制内でも変革を模索する人たちがいた。そこに光を当てているのが佐々木譲さんの「幕末三部作」が持つ意義だ。今回の江川英龍は、最も先輩格であり時代を拓き、推し進めた先覚者。飢饉の時代、善政をした韮山代官であり、領内の下田を通る黒船から日本の変革に覚醒し、海防強化、西洋砲術の導入、反射炉、台場築造をした。自らの行動で日本の近代化への方向性を確かなものにした器の大きい人物だった。2025/03/22
てぃと
15
凄い人物です!早くから欧米列強の進出で混沌とした東アジアの情勢を把握し、ヨーロッパの最新技術を導入して国(幕府)を守ろうとする強い志を持つ男を、幕府が伊豆韮山の一介の代官だけにしておくはずもありません。英龍は幕府にとって最高の行政官だったということでしょう。ただし、逝くのがちょっと早かった。彼がもっと長生きしていれば、もっと違う歴史になっていたかも…とついつい想像してしまいました。2020/12/16
えぬ氏もわるよのぉ
13
幕末の伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍が主人公。西洋式兵備の必要性を説く江川の前に立ちはだかるのが大の洋学嫌いの鳥居耀三である。松永弾正、徳川綱吉、田沼意次等、かつては評判の悪かった歴史上人物でも、近年は再評価する声が出ているのも何人もいるが、鳥居耀三だけは頑迷固陋・奸智術策という評価が定着してて悪役としての地位は不動。良く言う声は寡聞にして知らないな。2022/11/10
まあやん
13
静岡県在住。韮山反射炉が世界遺産になった。が、何も知らなかった。こんなすごい人がいたんだ。あまり名前が出てこない気がするが、始まりを作った人だ。能力があるため余りにもたくさんのことをかかえてしまった。過労死といえるかも。もう少し生きていてほしかった。日本のためにも自身のためにも。たくさんの人が出てきて、漢字も難しくやっと読み終えた感じ。世の中落ち着いたら韮山反射炉へ行こうと思う。2021/03/05
タカボー
11
主人公は伊豆韮山の反射炉建設に貢献した江川太郎左衛門英龍。私は地元が伊豆なんで名前はもちろん知ってたけど、具体的に何をやったのか知らなかった。本屋で偶然見かけた本。地元だから興味があるせいもあるけど、これは当たり。寝る前に少しだけ読もうと思ったら、ページをめくる手が止まらなくなった。鎖国を守るために、外国の武器や軍学を学ぶ必要に迫られるという、矛盾しまくりなんだけどそれが当時の日本。有益な知識を持ってて、ちゃんと客観的に見てた人達が処罰されてしまったことが惜しまれる。そして敵は憎いほど楽しい。2020/11/29
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- 和書
- 佛教藝術 159号