出版社内容情報
ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査
一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇
の序章に過ぎなかった―。
神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。
〈純文学×警察小説〉
かつてない衝撃!圧倒的人間ドラマ!
待望の文庫化。
中村文則[ナカムラフミノリ]
著・文・その他
内容説明
ある町で突如発生した連続通り魔殺人事件。所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は“コートの男”を追う。しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。“コートの男”とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。人間存在を揺るがす驚愕のミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
478
信じられないだろうが、中村さんのご本を読んで声を出して笑ったんだ、このわたしが。何度も、何度も。導入部分だけ見れば「ミステリー」、ただし本質はそこではない。連続通り魔事件をめぐり、所轄刑事・中島と、捜査一課の女刑事・小橋。ふたりの掛け合いだけでグイグイ読まされる。登場人物の多さといくつかのキャラ被りで読みにくい部分もあったが、筆者独特の「人の闇と病み」そして「神とわたし」の縦糸と横糸が見事なハーモニーを紡ぐ。とにかく小橋刑事が素晴らしい。一生ついて行きたい。2020/08/07
遥かなる想い
170
無表情な「コートの男」連続通り魔事件を追う男女の刑事の物語である。 捜査の過程で 浮かび上がる男女の闇が おぞましい …「めぐみ」に関わる男女の壊れた心 … 著者は何を描こうとしたのだろうか? 現代に生きる男女の壊れた狂気が怖い …そんな作品だった。2020/07/12
のり
135
連続殺傷事件が起こり捜査に乗り出す「中島」と「小橋」のコンビ。目撃情報もあり犯人像が浮かび上がるが…コートの男と世間でも騒がれ、模倣犯まで各地に現れる始末。混迷する世。機微な心理。歪んだ思い。人はここまで壊れられるのか。重苦しい闇を覗かされた。中村作品、満喫しました。2019/04/15
JKD
117
謎だらけの連続殺人事件を追う中島&小橋刑事。ちょっと込み入った捜査と人間関係に翻弄されつつ第三部に突入。そこから本編の狂気と闇が渦巻き錯綜する驚愕の世界にどっぷりハマり夢中になって途中何度も読み返しました。本書のタイトルもセンスいいと思います。2019/02/02
巨峰
101
連続通り魔殺人コートの男事件。犯人を追う所轄の刑事中島と捜査一課の女性刑事小橋。ミステリとして読んだらこの二人のコンビがとてもいい。特に小橋さんってかなり新しい。これまでに類例がない感じです。(だからこのコンビの第二作も希望したい)事件はかなり複雑、二つのドラマが絡み合い、またミスリードもあり。これまでの中村文則的要素も含まれており、解読はそんなに簡単ではないと思われます(再読必須かなぁ)2019/01/20