内容説明
記憶の奥底を覗き込む。やわらかくて危うい―至高の41篇。現実と虚構のはざまに産み落とされた詩情あふれる傑作掌編小説集。
著者等紹介
小野正嗣[オノマサツグ]
1970年、大分県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科を経て、パリ第八大学で博士号取得。早稲田大学文化構想学部教授。2001年、「水の埋もれる墓」で朝日新人文学賞受賞。2002年、「にぎやかな湾に背負われた船」で三島由紀夫賞受賞。2015年、「九年前の祈り」で芥川龍之介賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
174
久々の小野 正嗣、4作目です。毎日新聞に連載された詩情溢れるショートショート集、オススメは、「日の出」&「泥に泥に泥に泥に」&「さようなら」です。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-633.html2023/10/29
シナモン
104
41の掌編短編集。集中して読まないと意識の隙間からこぼれ落ちてしまいそうな繊細な文章。純文学的で難しい部分もあったけど、その美しさに深い余韻の残る一冊でした。2023/10/05
かもめ通信
26
いずれも数ページの41篇もの作品を収録した掌編小説集は、時に連作短篇のようであり、エッセイのようにも読め、ホラーの様相を呈していることも、長編小説の一場面のように思えることも。いろいろな顔を持っているにもかかわらず、そのどれもが、とても鮮やかに場面場面を読み手に思い浮かばせる。本を読みながら思い浮かべたあの情景、あの風景が、実際に目にしたものであるかのように私の記憶の中に埋もれていく。2023/09/25
スイ
15
現実と非現実。 夢と醒めた後。 生と死。 様々な間をそっと掬い上げるような掌編集。 時に恐ろしいものもあり、孤独に叩き込まれるものもあり。 でも小野さんの文章はとても真摯で丁寧だから、怖くても心が解けるような心地良さがある。 小野さんの放送大学の世界文学の授業が好きだったので、あの時のことがベースなのかな、と思うものもあって嬉しかった。 稀有な感覚が得られる作品。 読み返したい。2023/11/16
びっぐすとん
15
図書館本。初読作家さん。読友さんのレビュー見て。この感覚はまさに「あわい」を漂うようだ。こういう不思議な話は好きだ、この作品も悪くないけど、何かが自分と合わない。ああ、そうか、この作品たちはショートショートなのだけれど、むしろ詩に近いんだ。私は詩が苦手だ。ストーリーというより情景なのだ。世界観は好きなので、他の作品も読んでみたい。2023/11/05