出版社内容情報
分断された世界に
抗う男女の
怒濤のラブストーリー!
落ちぶれた映画監督の前に突然現れた北の女密使。
出会うはずのない二人が、国家を揺るがす〈禁断の事実〉を追う。
いまから話す内容を決して口外してはならない――
大麻取締法違反で起訴され、初監督作品はお蔵入り、四十を前にキャリアを失い派遣仕事で糊口をしのぐ横口健二に舞い込んできたのは、一冊の映画雑誌を手に入れるという謎の「極秘任務」だった。
横口は北朝鮮からの"名前のない女"とともに、禁断の世界に足を踏み入れていく。
一触即発のリアルな国際情勢を
背景にくりひろげられる
スリルと〈愛〉の物語。
内容説明
大麻取締法違反で起訴され、初監督作品はお蔵入り、四十を前にキャリアを失い派遣仕事で糊口をしのぐ横口健二に舞い込んできたのは、一冊の映画雑誌を手に入れるという謎の「極秘任務」だった。横口は北朝鮮からの“名前のない女”とともに、禁断の世界に足を踏み入れていく。一触即発のリアルな国際情勢を背景にくりひろげられるスリルと“愛”の物語。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
204
阿部 和重は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。タイトルと表紙からピンク・フロイド的な音楽小説かと思いきや、伊坂幸太郎的、緩い国際謀略ラブストーリーでした。面白くなくはないですが、著者にはもっと高いレベルの作品を期待しています。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-480.html2021/07/05
ケイ
100
長いのに、もう少し、もう少し読もうとなってしまう。作者の語り口に引っ張られて本を置くタイミングがわからなくなっていた。金髪のカツラにマスクで黙々と作業するオンナがどうしても愛おしくなってしまう。古書店の店主とか、新潟の反社とか、怪しく怖い人ばかりなのに、憎めない。反社の人の理屈立てに感心したりもして。黒川博行氏の疫病神シリーズに町田康で味付けしたかんじなのよね。こういうの、たまんないわ。それと、横口健二と沢田龍介二人の名前を合わせるの、沢田研二みたいになるんだけど〜ってずっと気になってた。2024/08/05
ぐうぐう
37
政治は遠くにある、と私達は思いがちだ。ましてや、国際政治や国家機密などとは無縁だと。本作は、トランプの隠し子(を称する男)と金正日が書いた(とされる)映画論文をめぐる謎を火種に、2018年の米朝首脳会談の舞台裏で国家間の丁々発止が繰り広がられる模様と、冴えない日本の中年男性と北朝鮮の女密使との淡い恋模様が隣同士に存在し、時に交錯、時に溶け合ったりする。男女は巨大過ぎる国際的陰謀に巻き込まれ、踊らされはするが、決して屈しない。(つづく)2021/10/21
Y2K☮
37
七夕の夜に読了した珠玉のラブストーリー。北朝鮮のあの一族やドナルド・トランプが実名で登場する。著者の持ち味である社会の裏の生々しい描写も健在。軸は「ダ・ヴィンチ・コード」風の実話風なサスペンス冒険活劇だが、登場人物が敵も味方も頭に映像が浮かぶほど濃い(特に天知は過去最大級に強烈だった。タランティーノの映画に出てきそう)。伊坂幸太郎寄りのキャラ造形。「キャプテン・サンダーボルト」の共作を通じて学んだのかな。これを映画にするのはたぶんムリだけど小説ならできる。阿部和重が作家になってくれて本当に良かった。名著。2021/07/07
あーびん
28
2段組500P弱のボリュームだが、最近の政治情勢をからめたスパイエンタメ要素が強くグイグイと頁が進む面白さ。金正日の書いた映画評論本が翻訳出版されていたとは知らなかった。noteで小説内にも部分的に出てくる「アルフレッド・ヒッチコック試論」を読みながらだったのでヒッチコック欲が高まる。しかし阿部和重作品って映像化されないな。本作も含め、とても映画的な作品ばかりだと思うのだけれど。2021/09/18