出版社内容情報
待望の最新小説。みなしごの主人公とその家族がたどり着いた「幸福」とは。この美しい世界に生きる希望を描ききった著者の最高傑作!
【著者からのコメント】
一生忘れられない、小さいけれど大きな作品になった。この小説こそが長く暗い闇を照らす光であってほしい。
内容説明
神聖な丘に守られた小さな村。みなしごの主人公と愛おしい家族―。この美しい世界、生きる喜びを描き切った最高傑作!
著者等紹介
よしもとばなな[ヨシモトバナナ]
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年、小説「キッチン」で海燕新人文学賞、88年『キッチン』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞を受賞。諸作品は30カ国以上で翻訳・出版され、海外の文学賞も受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
185
よしもとばななの小説って、読んでいるときはその世界にどっぷりと浸かってしまうのだが、読み終わると霧が晴れたかのようにサーッとすべてが消えてなくなる。なくなるというと語弊があるのかもしれない。なくなるのではなく、身体の中に浸透していくだけなのかもしれない。赤ちゃんのときに、幹は太平家のお母さんに拾われて、娘として、家族として育てられた。それが、立派な大人となって太平家の一員として当たり前のように過ごしている。人と人とのつながり、人の運命というものをやんわりと伝えてくれる。素敵なお話なのです。2015/03/28
風眠
149
「ほとんど無意識に書いたから、この小説のことはなんにも覚えていない。もはやネイチャリングのようなもので、自分の意志はなにも使っていない」あとがきのこの文章を読んで、この物語のすべてがストンと落ちた。父を亡くし、その哀しみをひとつの物語として昇華させた作家としての執念みたいなものが、文章の中に見え隠れする。生きること、死ぬこと、愛おしむこと、懐かしむこと、そして生かされているということ。小さな物語だけれどとてつもなく広くて温かい。人生は時に残酷だけれど、「違うこと」を選ばないよう心を澄まして生きてゆきたい。2014/05/05
舟江
109
夏疲れで選んだ本。途中で父のことを書いた本だなと感じたが、スピリチャルな内容の本だった。また「自分の宇宙の神様を自分だと思わないと、決して全部は見えてこないと思うよ。~」は、圧巻であった。今年読んだ本の中でNo1である。後からジワリと効いてくる。2016/09/08
みんと
89
ほんわかとやわらかく温かい、そして優しい気持ちになれるお話だった。 よしもとばななさんが大好きなお父様を亡くされた時に書かれた作品で、あとがきでも自分の意志でというよりもチャネリングに近い形で出来上がったとおっしゃっている。 亡くなった方とアクセスできたり、夢の中の不思議な出来事が現実との間でなんとも言えぬ余韻となり、それが心地よさへと変わってゆくのである。2015/09/25
Mumiu
66
宇宙のバランスとか等価交換を感じる作品。わたしたちのまわりにあるものすべては、この地球がもっているもの、それがいろいろ形を変えて、手元にあったり遠くにあったりなんだなと感じる。ファンタジックな現象や奇跡の類も「違うこと」をしなければ起きてもおかしくないと思われるほど。主人公がふわふわしているだけではなく、ちゃんと村の人がどう自分を評しているかまで理解しているところがいい。この話を見た後だと環境破壊といわれているものさえ、生き物からみたら生命の危機かもしれないけど地球にとっては取るに足らないことかもと思う。2015/05/09