内容説明
七篇七様の戦慄、めくるめく本格ホラー誕生。
著者等紹介
高原英理[タカハラエイリ]
1959年、三重県生まれ。小説家、文芸評論家。立教大学文学部卒業。東京工業大学大学院博士課程修了(価値システム専攻)。1985年、小説「少女のための鏖殺作法」で、幻想文学新人賞受賞(選考委員は澁澤龍彦・中井英夫)。1996年、三島由紀夫と江戸川乱歩を論じた評論「語りの事故現場」で群像新人賞評論部門優秀作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
69
幻想的な怪奇小説7編の短編集。おどろおどろしい内容ではあるが、リズム感のある文章、少し癖のある文体ではあるがそれがまた恐怖にプラスされ、引き込まれる。傍観者だったはずなのに、いつの間にかそれに巻き込まれ抜き差しならない恐怖にこちらまでおののく。「町の底」「樹下潭」「緋の間」が好き。そして、表紙をあらためてみると怖い!2018/10/01
pino
69
人がタブーを破るのは、何故。決して、見るな、行くな、語るな。は、甘い誘い言葉。悪い予感を本能的に感じながら、ある者は自分探し、ある者は正義感に導かれ、禁断の場所に旅立つ。が、普段と変わらないではないか。いや、違う。壁の裂け目が呻き、地面は蠢き、闇は魔物を孕む。この世界を穢さぬように、畏れを持ってしても、生身の人間は太刀打ちできない。理性で狂気を隠している日常にもどるのか。狂気の愛に満ちたこの異空間に残るのか。そう問われたら。どうする?グロい描写を含む短編もあったが、ホラーにカタチを変えた愛の話。私は好き。2012/08/22
リッツ
26
土地に、家に、ひっそりと生きる後ろ暗い物語。罪深くて残酷で、隠してもじんわりと沁み出て、それに近づいてしまうものを絡めとる。逃れたつもりでも気づいたら只中に呑まれ、延々と続いていく恐怖。怖かったー!が、ふとした時に感じる漠然とした不安、つかみどころのない哀しみが文章として巧みに描かれ、その繊細な美しさに感動した。2022/08/26
らすかる
23
7編からなる短編集。題名も表紙もさることながら内容も、、おぞましい。なんだろう、静かなスプラッター。また文体が独り言みたいなつぶやき系で、これがまた味を出していて不気味。自分までこの異様な世界に迷い込んだみたいに。「黒い、三つが、一つが」や「この子はこの子は要らぬ子で、、」など変にリズミカルで頭にこびりつくセリフが何とも。やはり怖い、とゆうより、おぞましい。2018/10/17
たいぱぱ
16
怖い短編集。初・高原さん。怖い本を探していて、この本のタイトルに目を惹かれましたが・・・。最初の「町の底」から、グロくて悪趣味。どの短編も語り口にが淡々としていて、独特の雰囲気があるのだけども、残念ながら欲してる怖い話ではありませんでした。2017/05/18