内容説明
改造の被害は受けたが、那須の自然はまだ豊か。少し年は取ったが、鯛山先生もまだまだ元気。クスリ臭い診療所は今も苦手だけれど、夏の鮎釣りに冬のスキー、蛙の声を聞きに出かけたり、秋の神様の日向ぼっこに付き合ったり…。先生は相変わらず忙しい。那須の山医者・鯛山先生の行状・見聞記シリーズ第十弾。
目次
プップクプップウ
好き好きスキー
マエタテ?
しゃれこうべ
栗とリス
焔
大捕り物
へび
先生サヨウナラ
なにかの五円
泥ドロスキー
ウウ、臭え!!
スキーだけの大滑降
ボケくらべ
タバコの害について
ウグイスのころ
遠い耳
囮アリマス
神さまたち
塀のなか
ケモノになれた
叱られて
蕗のとう
泰ちゃんけ?
柏餅
ケエロ
悪名たかく
神さま怒った
贅沢ざんまい
キノコ汁で
カラカラ煎餅
芋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Galilei
2
那須高原のひっそりとした在所で、釣りと人情をこよなく愛する村医者の私小説シリーズ。どの章も詩情豊な那須の四季から始まり、作者の身辺に起きた事件、といっても日常茶飯事の浮気、病や老いと死、過疎の悲しみなど昭和の山村を如実に表して身近に感じ取れます。師事した獅子文六の作風の様に、ユーモアと隠れた心理描写は、地元民と医師の視点にハッとさせられます。▽その風貌は、黒々と縮れた髪と顔中覆った豊かな髭、一見眼光鋭いですが瞳は優しく高く尖った鼻。対談した森繁をして役者にしたいと。素面なら仲代達也も負けそうです。
anxi
1
借り物2016/06/13
チャゲシン
1
「悲しげにカナカナが啼いている。もうじき凍えていく虫たちである」こう書かれただけで、グラグラっときてしまう。傾倒を通り越して、心酔です。そして『鯛山先生これにて断筆』へと続く、鯛山先生文学の精髄。ここまで読み進めてくると、ファンは涙なしには読めません。もちん電車で読んだりしたら、思わず噴き出してしまう作品もあり、要注意です。2013/05/28




