内容説明
町外れで父と孤立して暮らす“変わり者”サリーは6歳までの記憶がない。ある日父が病気で亡くなり、言いつけどおりに家の裏の焼却炉で遺体を焼いたところ、警察が駆けつけ大騒ぎになってしまう(何かまずかったようだ)。マスコミが殺到するなか、赤い帽子を被って葬儀を終えたサリーは父が遺した手紙を開く。そこには人とかかわるようにという願いとともに、ある凄惨な事件の記録が記されていた―。
著者等紹介
能田優[ノダユウ]
北海道函館市生まれ。英米文学翻訳家。ブロガー。自身のウェブサイトにて主に未邦訳の海外ミステリーの情報を発信している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
68
父親の遺体を自宅の焼却炉に突っ込みガソリンをかけて火をつけた主人公のサリーは42歳。殺人犯でもなければ精神を病んでもいない。ただタイトルどおりに普通の人生を歩んできていない。遺書から過去を知り懸命に普通の生活を送ろうとするサリーには声援を送りたくなる。しかし並行して書かれる出生の事実はおぞましく吐き気を催すほどだ。この対比がうまくてページをめくる手が止まらなかった。苦手な人にはダメな作品だと思うが、たしかに読後は語り合いたくなる。ただし私は映像では観たくない。2024/09/13
しゃお
25
ぐいぐいと惹き込まれ終盤は一気読みでした。「変わっている」と言われるサリーのその悲惨で痛々しい生い立ち。虐待のおぞましさと連鎖する負の要素に胸がムカムカして読みにくくなりそうにも。しかし、周りの人の優しさもあってサリーが人生を明るく前向きに生きようとする姿がとても鮮やかで清々しく、彼女を思わず応援したくなり夢中になって読み進めました。そんな中で暗い影を落とす出来事が。生きていればやり直す事もできる。サリーが再び前向きな人生を歩んでいる事を願ってやみませんでした。2024/09/23
わたなべよしお
21
不思議な質感を持っ小説だった。吐き気がするほどの忌まわしい犯罪と少々変わり者だが、人生に誠実に向き合うサリーの姿が並行に描かれる。ちょっと上手く表現できないけど、なんとも言えない魅力がある。ただ、ラストはあいつではなくてサリーで締めたかったかなぁ。2024/09/14
石
10
れぞれの形で犯罪に巻き込まれたふたりの、対照的な人生を追っているとあっという間に読み終わってしまった 世間ずれしていないサリーの言動にやきもきし、特殊な環境で育った人の苦衷を最後のあたりの展開に感じずにはいられない2024/09/04
ののまる
10
2/3まで面白かったなあ〜 そのあと…うーん。付け足しみたいなコロナもいるのかなあ。そして被害にあった子どもと少女が本当に可哀相すぎる。2024/09/11