内容説明
1890年。ロンドンでは不可解な殺人事件が相次いでいた。そのひとつが富豪アンソン卿殺し―ベッドの上で寝間着のまま死んでいるのが見つかったが、死因は溺死だという。やがてホームズとワトスンは、殺害手口こそバラバラだが被害者は皆、とある慈善事業団体のメンバーだと突き止めた。そしてもうひとつ、どうやら殺人はアンソン卿の“A”に始まり、名前順に行われているようで…。
著者等紹介
マクバード,ボニー[マクバード,ボニー] [MacBird,Bonnie]
サンフランシスコで生まれ育ち、スタンフォード大学で音楽の学士号と映画の修士号を取得。長らくハリウッドで脚本家およびプロデューサーとして活躍し、エミー賞を3度受賞、CINE GOLDEN EAGLES賞を11度受賞。SF映画『トロン』(1982年)の原案・原作者としても知られる。現在は水彩画の画家としての顔を持つ一方、UCLA公開講座で映画シナリオの書き方も教えている
日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
青山学院大学卒。翻訳家。日本文藝家協会、日本推理作家協会、日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカー・ストリート・イレギュラーズの会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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本木英朗
20
世界一の名探偵ことシャーロック・ホームズの長編のひとつである。作者はボニー・マクバードという女性であるのだが。今作で3作目かな。1890年、ロンドンでは不可解な殺人事件が相次いでいた。そのひとつが富豪アンソン卿殺し――ベッドの上で寝間着のまま死んでいるのが見つかったが、死因は溺死であるという。やがてホームズとワトスンは、殺害手口こそバラバラだが被害者は皆、とある慈善事業団体のメンバーだと突き止めた……という話から始まる。一応、真犯人が誰かってところは分かったけれど、うーん、ちょっとねえ、という感じ。(→)2023/01/17
teddy11015544
4
ホームズものパスティーシュ。痛そうだし、薬は効いてるし、動き回るし、寝なくて平気だし、人よりエネルギーがある人は大変だな(現実にもいるけど)。そういう人に振り回される、普通(でもないが)のワトソン。筋立てもまずまず面白かった。冒険活劇です。2025/02/15
はるう
2
めちゃくちゃ動き回り、ズタボロになるホームズとワトソン。骨折するわ、銃で撃たれるわ、モルヒネを打たれて意識朦朧の中でコカインを摂取して覚醒するわ、後半のホームズはもうめちゃくちゃ。しかし、きちんと理路整然とした推理を組み立てている。さすがホームズ。ワトソンが置いてけぼりなのはいつものことだけど。ハラハラしつつも、入り組んだ謎が本当に楽しかった。2023/09/24
ももこ
2
パスティーシュ作品というのは難しい。どんなに優れた書き手でも現代に生きている人間である以上、19世紀末の世界を描く描写はやはり本家には敵わない。物語から滲む空気や匂いのリアリティさにかけては。それでもこの作品は当時の習慣や景色をよく描いていると感じた。 どうかホームズの作品はクリスティのようなことにならないよう祈る。差別的な表現がされているとしても、それこそが負の歴史のひとつでもあるのだから。2023/04/05
西本邦明
1
アンソニー・ホロヴィッツのホームズよりも、ホームズらしいホームズの物語でした。 最後まで息をつかせぬ展開で、とても楽しめました。 シリーズの3作目との事で、1、2作も、またシリーズも継続している様子ですので、続編も読んで見たいと思いました。2023/03/19