内容説明
黒髪ですらりとしたジャレッドをはじめて見た瞬間、シーリアは、この男はやっかいだと思った。もう十分にやっかいごとを抱えているというのに。シーリアがジョギングから戻ってくると、彼がアパートメントの前の舗道に立っていたのだ。この人、来るのが早すぎるわ…。シャワーを浴びて着がえる暇はもうない。シーリアは金に困っていた。両親をなくし、障害を持つ弟を抱え、明日の食事にも事欠くありさま。卑劣な上司に耐えかねて仕事をやめたとき、母を勘当した祖父についに手紙を書いた。シーリアは敗北感を抑えつけ、慎重に言葉を選んで助けをこうた。そして、祖父の代理人ジャレッドが訪ねてくることに…。シーリアは息をつめてジャレッドが伝える祖父の返事を待った。
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