出版社内容情報
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内容説明
1943年、人種隔離政策下のアメリカ。数学教師ドロシー・ヴォーンは、“黒人女性計算手”としてNASAの前身組織に採用される。コンピューターの誕生前夜、複雑な計算は人の手に委ねられ、彼らは“計算手(コンピューター)”と呼ばれていた。やがて彼らは宇宙開発の礎となり、アポロ計画の扉を開く―!差別を乗り越え道を切り拓いた人々の姿を描く、感動の実話。映画『ドリーム』原作。
著者等紹介
シェタリー,マーゴット・リー[シェタリー,マーゴットリー] [Shetterly,Margot Lee]
バージニア州ハンプトンで生まれ育ち、アルフレッド・P・スローン財団の研究員でもあり、女性計算手の歴史の研究に対してバージニア州財団より人文科学の助成金を得ている。バージニア州シャーロッツビル在住
山北めぐみ[ヤマキタメグミ]
東京都生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
98
映画を観てからの読書だった。映画は凝縮され盛り上がりを作るように修飾されてもいて、それはそれで面白かったが、本の長い時間にわたる詳細で地道な記述もまた、大きな感動をよぶ。本当に黒人を苦しめたものは「自己不信」。プライドを持って生きていくために、親が子らに教育を与えようと必死で働く。その姿は、空に消えていくアポロを見るより、胸を熱くする。2018/02/09
はたっぴ
75
会社の先輩がこの映画を2回観に行き、(感動したので)小説も読みたいとのことで積読本を引っ張り出した。とりあえず導入部分だけ読むつもりが止められずに読了。知らない世界を覗き見る緊張感と楽しさが詰まった作品だった。〝差別〟は人類にとって永遠の課題だが、ここに出てくる女性達は知性と勇気を持ち、幾つものハードルをしなやかに乗り越えていく。学んだ知識(数学)を武器に、最先端の技術を開発するべく仕事に邁進する人々に痺れっぱなし。彼女達の活躍で飛行機の安全性が向上したこともわかり感動もひとしおだ。映画も観たくなった。2018/02/02
harass
66
人種隔離政策が残る米国で黒人であり女性であった数学者たちがNASA初の技師となり宇宙開発に携わったかのノンフィクション。いくら優秀で学があっても職が限られていた黒人女性の一人は第二次大戦中の人手不足で軍用機の研究所の臨時職員として雇われる。航空機開発での数値計算を行う計算手から専門家に進む。同名映画の原案のようでよく脚本にできたなと驚く。題材として米国の戦後の冷戦期を黒人や技術者側の視点から見ていて興味深いのだが、最近読んでいたノンフィクションのエクリチュールとずいぶん異なり戸惑いがあった。2018/02/03
毒兎真暗ミサ【副長】
26
黒人女性キャサリンは小さい頃から数学が得意。友達のドロシー、メアリーも才女で勤務先のNASAで肩身狭く助け合っていた。ある日キャサリンが宇宙研究本部に配属。あらゆる差別に耐えながら実力のみでのし上がっていく。ドロシーも計算部、メアリーも開発部で同様に戦う。珈琲、トイレ、学校。1960年代の差別キーワードはいくらでも。しかし諦めない彼女たちを見出した上司(ケビン・コスナー)がカッコ良すぎる!それぞれの希望を乗せたロケットは夢を叶えて帰って来るのか!?なんて痛快でなんて爽快、女性史上間違いない最強決定版!!2023/11/26
niisun
24
映画が観たかったのですが、なかなか映画館に行けなくなっているので、本を手に取りました。第二次大戦時、ドイツや日本との空の覇権争いの勝利に貢献したNACAから、冷戦時代にソ連から大きな遅れをとった宇宙開拓の猛追を担ったNASAに連なる一連の研究において活躍した黒人女性たちの伝記。たぶん映画は、彼女達の苦難の道と華々しい活躍を凝縮して感動物語に仕上げているのだと思いますが、元ネタである本書は、多少終盤で過度な盛り上げが見られるものの、3人の黒人女性のキャリアの道筋を地道に拾い上げており、読み応えがありました。2018/04/24