内容説明
結婚後すぐに夫を亡くし、豪奢な屋敷でひとり喪に服す若き貴婦人エミリー。夫のことは他人同然に知らなかったが、いつしか彼が生前愛した美術品を眺めるのと、遺された日記を密かに読むのが数少ない楽しみに。そんなある日、夫の蒐集品の1つアポロの胸像をメイドが掃除中に壊してしまう!ぽきりと折れたアポロ像の鼻からは、とんでもない謎と夫の黒い秘密が飛びだして…?エミリー、最初の事件。
著者等紹介
アレクサンダー,ターシャ[アレクサンダー,ターシャ] [Alexander,Tasha]
NYタイムズ紙ベストセラー作家。ノートルダム大学で英文学と中世史を学ぶ。夫も同じく小説家で、シカゴとイギリスを行き来する生活を送る
さとう史緒[サトウシオ]
成蹊大学文学部英米文学科卒。小説からビジネス書、アーティストのファンブックまで幅広いジャンルの翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばう
59
★★ ヴィクトリア朝時代の貴婦人が探偵役の物語、というので興味を持って図書館で借りてきたけれど前半部分は全く事件は起こらず、大変大衆的になったジェーン・オースティンか、はたまたちょっと高級な感じになったハーレクインを読んでいるような気分で物語が進んでいく。ところがメイドが誤って壊した屋敷のアポロ像からようやく話に進展が。なんと大掛かりな美術品窃盗事件に発展していく。登場人物みんなが怪しく思えるけれど結局はやはりあの人が犯人(一番怪しかった)。シリーズ物みたいだけど次は読まなくてもいいかな?2024/05/13
はるき
34
ミステリーというよりも、時代物ミステリー風味という雰囲気が濃厚。貴族の未亡人の浮世離れした性格設定が私は好きだな。2017/03/13
寧々子
25
500頁ちょっとあったけど思いのほか読みやすく、美術品をめぐる陰謀の首謀者は途中で目星はついてしまったけど、気になることがあったので、予想よりも早く読み終わりました。 もっと自由に自立して生きたいと願うエミリーが、逆らおうとする社交界の慣習なども興味深かった♪ エミリーに近い感覚を持つ自立し女性達や、もっとずっと保守的に生きてはいるけれどエミリーの力になってくれる親友など、魅力的な登場人物が配されているのも良かった。 ある意味、エミリーは人に恵まれているなぁ。 母親はウンザリしちゃうほど煩いけど~ 2017/06/23
徳浄さん
25
19世紀のイギリス貴族の話は、ヒストリカル・ロマンスとしてよく読んでいる。貴族社会の女性の立場は、男性に守られているという反面少しの自由もなく、ちょっとでもマナーを外せば狭い世間の中で非難され引退せざるを得なくなるらしい。その中で未亡人というのはある程度の自由を与えられ自分の思い通りの行動も取れるという事なのだろう。途方もない大金持ちの未亡人エミリーのギリシャ語への探求心や、亡夫の謎を解いていくまでの過程を楽しんだ。次巻も期待したい。2017/05/13
みみずく
24
19世紀のイギリスを舞台に描かれた美術ミステリー。巻末からの作者からの言葉も当時の社会状況や美術周りのことなどを説明してくれていてより楽しめた。主人公エミリーは母からの結婚プレッシャーから逃れるために結婚をしたが、すぐに夫が亡くなってしまう。死後になって夫のことを知ろうとするところは、物語が進むにつれて切なくなったり疑心がつのったり。実は、エミリーに関わってくる男たちが色々と口煩く指図するのが鬱陶しくて途中まで読んでそのままだったのだけど、ちゃんと読み終えてよかった。続きも読むつもり。2017/02/16