内容説明
「シンデレラでもあるまいし、なぜあなたがそこまで犠牲を払うの?」親友リズの怒りの言葉をエレノアは笑って聞き流した。その前日、彼女は学校予算の都合で特殊学級の教師の職を失った上、これまで経済的援助をしてきた従妹のケリーが家出したためにケリーの赤ん坊レイシーの世話を押しつけられてしまったのだ。しかも突然訪ねてきたムラード・アヒカーというアラブ人に、二十九年前に自分と母を捨てた父が会いたがっていると告げられてすっかり混乱してしまっていた。しかしエレノアは、今ごろ名のりをあげてきた父よりも、父の代理でやってきたムラードの漆黒の髪と瞳、褐色の肌になぜか心を惹かれて…。