内容説明
大きな鏡の前で、バーを握り体を支え、モニカ・ハムリンは必死で背中の痛みをこらえた。モニカは、ニューヨーク・シティ・バレエ団に属するバレリーナ。七歳のときから二十年間、彼女はバレエにすべてをかけてきた。バレリーナとしては普通より身長が高いことは、不利な条件だ。それを克服するために、モニカは人一倍激しくレッスンに打ちこんだ。バレリーナであることの自負だけが、モニカをここまで支えてきたのに、それが、今、脅かされようとしている。専門医はモニカの背中を診て、バレエを続けることを禁じた。モニカにとって、踊れなくなることは、唯一の収入の道を断たれることでもある。折も折、たった一人の肉親、愛する妹のために、どうしてもお金が必要なときなのに。