出版社内容情報
動物たちは,ローレンツ時代に考えられていたように集団や種を維持するためにではなく,それぞれの個体がそれぞれ自分の適応度を高めようと努力しているのだという見かたが,研究者たちの基本的認識になった。そうなると,動物たちの行動も社会も,これまでとはまったく違ったものとして,われわれの目に映ってくる。本書では,この新しい視点から“動物の行動と社会”を考察する。
1.動物行動学とは
2.エソロジーの基本概念
3.動物の外界認識
4.ディスプレーとコミュニケーション
5.行動のおこるしくみ
6.行動の進化と遺伝
7.適応戦略
8.行動の多型
9.利他行動
10.群れとなわばり
11.配偶システム
12.性淘汰
13.家族関係
14.学習とプログラム
15.エソロジーから見た新しい視点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
未来来
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動物行動学(エソロジー)の放送大学教材。複数著者による執筆ですが、纏まりが綺麗で流れにも違和感がありませんでした。概念や歴史から始まり、現在の研究成果に基づく説を具体的な事例を交えながら説明し、組み上げてくれるのでとてもわかり易いです。総括的なものなので個別には掘りが浅いですが、参考文献が各章末で挙げられているので深入りする手助けにもなりそう。最後に人間に当て嵌めた記述が少し見られますが、これは新たな視点の提示としては受け入れ難いものではありませんが、ちょっと蛇足だったように思います。《大学図書館》2009/09/11