出版社内容情報
民族音楽学は、人間と音楽の関係を総合的に研究する学問である。すべての音楽は、人間の所産であり、人間は必ず、何処か一つあるいは複数の民族に所属しているので、その所産である音楽はすべて民族的なものである。特定の音楽を「民族音楽」と呼ぶのは、差別の表現と同じである。したがって、民族音楽学の対象は、すべての音楽であり、ただ、その方法が音楽学の他の分野(例えば、西洋音楽史学)と異なるだけである。今回の講義では、現代の最先端の民族音楽学の理論を扱うことによって、音楽学全体への理解も深められるようにする。
1.民族音楽学の発想の歴史
2.民族音楽学の範囲と方法
3.個人にとっての音楽
4.社会的・文化的アイデンティティー
5.音楽実践
6.音楽と身体
7.音楽における人とものとのインターフェイス
8.音の運用規則
9.言語テクストと音楽
10.伝承
11.創造と変化
12.音楽記号学
13.人間の歴史における音楽
14.美学・解釈学と民族音楽学
15.新しい民族音楽学の理論をめざして