出版社内容情報
19世紀以降の西ヨーロッパ諸国の政治発展を比較政治の分析枠組を用いて概観する。他の地域と比較すれば、確かに西ヨーロッパ諸国の政治には共通の基本的な特徴があるが、反面、少しでも細かく見ていけば、各国毎に無視できない多様性が見られることに気付く。本書では、西ヨーロッパ諸国の政治がもつ、この共通性と多様性が、いかにして生じ、発展してきたのかを、近世以降の歴史的展開をマクロの視点からたどることで明らかにしていきたい。
目次
ヨーロッパ政治史へのいざない
国家形成と絶対王制の統治構造
自由化・民主化の始動―地主の時代1 イギリス
自由化・民主化の始動―地主の時代2 フランスとドイツ
ナショナリズムの時代
世紀末の大衆動員と組織化
大衆民主制の到来―政党制の確立と福祉国家
第一次世界大戦の衝撃と戦後危機の収拾
大恐慌と民主制の明暗
戦後体制の出発
福祉国家とコーポラティズム―その形成と変容
変容する戦後政治
政権交代の夢と現実
岐路に立つ現代ヨーロッパ―既成政治の動揺とポピュリズムの拡大
君主制とデモクラシー―その歴史と現在
著者等紹介
中山洋平[ナカヤマヨウヘイ]
1964年神奈川県に生まれる。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専攻:ヨーロッパ政治史
水島治郎[ミズシマジロウ]
1967年東京都生まれ。現在、千葉大学大学院社会科学研究院教授。専攻:ヨーロッパ政治史、比較政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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夜間飛行
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民衆の力が改革を進めた仏英に比べ、普では土地貴族が官僚制を牛耳り民主化を遅らせた。19世紀末になると中欧では職能団体が組織化され、独では経済効率化が進む。しかし権威主義政党が抑圧的な経済政策を採り、対立からナチを躍進させた。一方、世論と議会が乖離して産業効率化で後れを取った仏では、人民戦線の勝利によりファシズムの専横は免れたが、経済の組織化はお預けになった。WW2後、先進諸国で労使間の協調が成立。60年代からの新左翼運動は「搾取」より「疎外」を重視し、環境保護、男女平等、マイノリティを巡る運動へ繋がった。2024/12/28