感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
184
バルトの《作者の死》がとっくに乗り越えられたのも知らなかった時代遅れの私だが、読みたい本が増え、平穏な日常が脅かされて困っている(笑)。「異邦人」に反撥したダーウドのもう一つの異邦人、ウエルベックやサンサールの描く幻滅と退廃(の裏にある慰めや希望)、共感と寓話の破壊者クッツェー、詩の《形なき形》を追求したヒーニー、根の喪失を足場に《小さな歴史》を奪還したクレオールの作家達…刺激的な話を通じて世界文学の山脈に〝招待〟してもらえるのが本書の効用(または毒)なのだ。TVではインタビューや自作朗読もあり愉しめた。2022/10/07
武井 康則
4
全12回で放送時点で最も現代的な作品とその周辺を取り上げている。フランスの周辺アルジェリアと国内のイスラム教、アイルランド、クレオール、南米のマジックリアリズム、韓国小説、ハン・ガンなど。それぞれを各講師が担当している。日本からは大江と古井由吉、多和田洋子。古井由吉は好きだが、どうしてここで古井なのか疑問。やはり問題意識を持つためには今不条理であること。それに抗う若さがあること。その意味で韓国は今最も文学的に熱い地域かもしれない。 2025/09/16
Úplněk
0
大江健三郎とアンナツィマを取り上げて、作中の引用を作家と作家の「精神」の共鳴ととらえる考え方が面白かった。間テキスト性を織り込むことで、行間を広げることができるのだと思った。2022/07/13