目次
上田秋成略伝
文学への目覚め―俳諧
作家としての出発―『諸道聴耳世間狙』
気質物からの逸脱―『世間妾形気』
『雨月物語』の世界(一)
『雨月物語』の世界(二)―「菊花の約」の信義
『雨月物語』の世界(三)―「浅茅が宿」の二重性
国学者として
本居宣長との論争
世相風刺の小説―『癇癖談』と『書初機嫌海』
和風の文人―和歌・和文・狂歌・煎茶
『春雨物語』の世界(一)
『春雨物語』の世界(二)―「死首の咲顔」と源太騒動
『春雨物語』の世界(三)―「樊噌」と仏心の妖魔
「命禄」と「狂蕩」―『胆大小心録』
著者等紹介
長島弘明[ナガシマヒロアキ]
1954年埼玉県生まれ。1976年東京大学文学部国語国文学科卒。1980年東京大学大学院博士課程中退。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は日本近世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫丸
14
肴屋の銀さんも大和魂をもっている。詐欺師も山師も人殺しも大和魂をもっている。大和魂はそれ天狗の類か。苦沙味先生の喝破したごとく、神国日本の幻想など安いものだ。この世に溶け込んだ怪異に親しい上田秋成だって、いやだからこそ、そういうフラフラしたものをぶら下げて低俗な自尊心にしがみ付く輩は腹に据えかねるのであった。学説上の争論において本居宣長にほぼ完敗しているのはご愛嬌。晩年は国学研究も馬鹿らしくなって遊戯としての文学で心慰めたという。この人もまた徹底した個人主義ですな。孤独な視座から善悪の彼岸を見る人。2019/10/30
オザマチ
9
尺の都合で『雨月物語』と『春雨物語』については一部だけを取り扱っているが、他の話についても講義してほしかった。2020/12/19
なま
9
★★★★「雨月物語」「春雨物語」等の作者。俳諧、和歌、歌舞伎、多彩な趣味や興味を持ちつつ国学研究もする文人。雨月物語の「菊花の約」がダントツに好き。「世間妾形気」には、浦島太郎の子孫だという話が含まれていたのが興味深かった。それにしても気質物は価値観、思考、環境と様々な人の特徴を誇張されると苦手だな人さえ笑えてくるから不思議だ。ある意味、今、自分が生きている世界で同じ見方が出来るようになると面倒な人さえ愛おしく、毎日笑える存在になるのかもしれない。人間観察を楽しみに変えてくれる一冊。2019/12/15
yutakah
1
放送大学の授業にて使用 長島先生の授業内容そのものも面白く(とても聴きやすい) 読み進められた 2020/08/29