出版社内容情報
刑務所から脱獄し逃走して、肉体労働に従事するティムは、ミシシッピのモーテルでコールガールのバージニアと出会う。二人は殺意と恋愛感情の交錯する奇妙な関係を築きながら、刑務所時代からティムが温めてきたとある犯罪計画に身を投じることに。
内容説明
ホテルで抱いた女は、三日して部屋を出るとき、俺と一緒だった。最初は、南へ向かう旅の途中で捨てるつもりだった。だが、「悪い金なんてない」と言い放つ女には見るべきものがあった。俺には計画があった。一緒に脱獄するとき命を落とした仲間が残した、とびきりのヤマが。そして、計画には相棒が必要だ…。80年代に再発見され、「完璧なる強盗小説」と激賞された究極のノワールが、ついにそのヴェールを脱ぐ。故・小鷹信光氏が心から愛した破滅と愛憎の物語を魂に焼き付けよ!
著者等紹介
チェイズ,エリオット[チェイズ,エリオット] [Chaze,Elliott]
1915年ルイジアナ州生まれ。従軍時は日本の占領軍に参加。戦後、作家として活動を開始し、1953年に発表した『天使は黒い翼をもつ』でゴールド・メダル・ペイパーバック賞を受賞。その後、コラムニスト、ジャーナリスト、編集者として活躍したのち、1980年代にはミステリーの執筆に復帰した。1990年、74歳で死去
浜野アキオ[ハマノアキオ]
1961年、宮城県生まれ。京都大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
131
2021年このミス海外第6位。 アウトローカップルのロードノベルである。 ブロンドの女 ヴァージニアの存在感が圧倒的で 心地良い。ひどく古典的な 犯罪小説だが、誰もが ぶれずに 生きているのが 面白い。昔ながらの ティムと ヴァージニアの 破滅と愛憎の物語だった。2021/01/13
しゃお
32
脱獄囚のティムはヴァージニアという魅惑的な美女と出会う。最初はすぐに彼女を捨ててしまおうとするも「悪いお金は無い」と言い放つヴァージニアにどうしようもなく惹かれていくティム。現金輸送車を襲い大金を手にしても、埋められないものをその胸に感じ取るティムですが、昔の恋人との再会場面でのやりとりやヴァージニアを守ろうとする姿など男としての強さを見せる場面が印象的。それだけに奔放で手に負えそうにないヴァージニアと、結果強く結ばれたからこそティムは弱さを得てしまうのが虚しくも切なく美しい。2020/03/14
くさてる
23
1953年に発行され、80年代に再発見されたノワール。いわゆる運命の女と悪党の強盗犯の絶望的な逃避行を描いたものだけど、そんな筋書きでは収まらない、ただならぬ雰囲気がたっぷりとあって、良かった。悪女ヴァージニアの造形がとても良いうえに、こちらの予想通りに進むかと思いきや、というストーリー展開も面白かったです。2020/12/06
hikarunoir
14
前科者、運命の女、陳腐なヤマ、逃避行。「郵便配達~」に南部ゴシックを横糸で織り込んだような、感傷なき密度で紡がれる特殊文体/象徴的ノワール。2020/04/03
アヴォカド
13
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』とかジム・トンプスンとかチャールズ・ウィルフォードとかを連想しながら読んだが、やはりその系列の人のようだ。途中でムムムと、結構大仕掛け。そうだったのか。2020/03/21