内容説明
ある雪の日の夕方、借金を苦にして自殺した両親の墓参りに向かうため、ハンク・ミッチェルは兄とその友人とともに町はずれの道を車で走っていた。途中ひょんなことから、彼らは小型飛行機の残骸とパイロットの死体に出くわす。そこには、440万ドルの現金が詰まった袋が隠されていた。何も危険がなく誰にも害が及ばないことを自らに納得させ、三人はその金を保管し、いずれ自分たちで分けるためのごくシンプルな計画をたてた。だがその時から、ハンクの悪夢ははじまっていたのだった。スティーヴン・キング絶賛の天性のストーリー・テラー、衝撃のデビュー作。
著者等紹介
スミス,スコット[スミス,スコット] [Smith,Scott B.]
ニュージャージー州サミット生まれ。ダートマス・カレッジにて心理学と文芸創作を学んだのち、コロンビア大学大学院で芸術学修士号を取得する。『シンプル・プラン』は27歳で書いた処女作
近藤純夫[コンドウスミオ]
エッセイスト、翻訳家、写真家。札幌市出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
63
強烈な「point of no return」物語。再読ですが全てを忘れ去った今、読み返してもあの頃と同じ感想なのか分からないけど、恐ろしい。誰でも自分ならどうするかと考えて読んじゃうよ。俺なら途中で自滅してるな。シンプルに生きられない落とし穴はどこにも空いているのではないでしょうか。悪因悪果、因果応報と思う次第であります。2021/08/03
しゃお
33
怖そうだと敬遠していたけどついに手に取ってみましたがやっぱり怖かった。読み進めたいけどどのように泥沼にハマり込んでいくのか慄き、たびたび中断しました(笑)。どんなホラー小説よりも普通の日常に潜むものの方が恐ろしく、一つの選択から転がり落ちていく様は、特に終盤サラとの電話の後に取る主人公ハンクの行動は真のサイコパスのよう。また結果的にそんな行動を取らせた妻サラがやはり一番怖いかも。因果応報な結末かどうかは別として、なんだかんだでハンクとサラが大金を手にできるよう、いつしか応援もしている自分自身も怖いかも。2019/06/15
Kepeta
23
95年度このミス第1位をようやく読む。犯罪サスペンスかと思ったらそうでもなく、想定外に悪い方向に進む事態は事案ごとにはすぐに決着してしまう。また、後半はカネの存在を知るのが未来を夢見るハンクと過去に執着するジェイコブの兄弟2人きりになってカインとアベルのような愛憎劇を繰り広げるのかと思ったらそうでもない。つまりこれはハンクが犠牲者を生み出し続ける話なのだ。カネによって人生が狂ったのではなく、カネの存在を媒介にハンクはじめ各人の本質が明らかになるのである。そしてそれが最も非人間的だったのがハンクなのだ。2025/03/29
J・P・フリーマン
18
ストーリーの根幹は、偶然見つけた大金を盗んだことで捕まらないようにすることだが、この話の本質は即興劇だと思う。自分の身を守るために、ハンクとサラはさまざまなアクションを起こすが、それがことごとく惨事へとつながる。即興劇だから次が読めない、それが気になってページをめくる手が止まらない。2019/10/23
KAZUKO
15
581ページという長編犯罪ミステリー小説でした。海外ものの翻訳でしたが、私は久々にこんなに長編なのに一言一句逃さないように丁寧に時間をかけて最後まで読みました。かなり惹きつけられる内容で「え!次どうなるの?え!そんな!まさか!」とずーっとドキドキハラハラで、心臓を鷲掴みにされているような感覚でした。 これは私が読んだ長編の中でも村上春樹レベルにすごい世界観を作っている作品だと思いました。本の世界に入ってこれだけ夢中にさせられたのは久々です!!!2021/07/14