内容説明
下水溝油、メラミンミルク、偽装肉…中国の「食の安全」はなぜ改善されないのか。上海福喜食品事件は氷山の一角!日本では報道されない食品加工工場の深い闇。厳罰化だけでは抑止できない、事件の背景にある「ブラックホール」を、中国の“食の安全”事情を熟知する気鋭のジャーナリストが徹底解説!
目次
第1章 上海福喜食品工場の衝撃(SMGのスクープ報道から;報道の裏側を探る;中国の外資バッシング報道;朱に交われば赤くなる、のか)
第2章 中国食品安全事件簿(赤ん坊30万人に健康被害を出したメラミンミルク;日本を震撼させた毒ギョーザ事件;パナマ咳止めシロップ事件;地溝油という発明品;偽装肉―病死豚からネズミ肉まで;豚肉をピンクにする「痩肉精」汚染;あっと驚くニセ食品)
第3章 なぜ中国で食品安全問題は起こるのか(農村と都市の間には深くて暗い河がある;官僚汚職体質がむしばむ良心;中国に食品依存している日本はどうしたらよいのか)
著者等紹介
福島香織[フクシマカオリ]
1991年、産経新聞社に入社。上海・復旦大学に語学留学し、2002年から2008年まで中国総局記者として北京に駐在。2009年、同社を退職し、現在はフリージャーナリストとして活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
石橋陽子
18
記憶にも新しい中国のフード業界の闇。落ちた肉を戻したり賞味期限切れの食品を冷凍し期限延長したりは当然。食べても死なないという理論であるようだ。某ファストフード店でも売れ残った食品を再度原料に戻し新たに再利用する。すると保存期限が振り出しに戻るとか。まー怪しいと思ってた10年は口にしてこなかったが、これを知ったら一生結構である。成長促進ホルモン入の餌『フードインク』という映画は見る価値あり。地溝油というゴミを濾過して作る油、発ガン性物質の塊で流通してることを知ればもはや自給自足しか術がないという思いに至る。2024/06/17
DEE
13
厳しく管理監督したり罰則を強化したりしても、中国の食品問題は決して解決しないことがよくわかる一冊。 知らぬが仏なのかもしれない。2020/02/12
Kentaro
13
HACCEPも取得し、定期的にマクドナルドなど大手企業の監査を受けていた福喜食品も生産責任者が賞味期限が切れ悪臭を放つ解凍肉を5%正常品に混入させることで次品(不良品)を再加工して出荷するという悪事を働いていた。その他、過去中国で発生した食品工場での言わば殺人的な汚染物質の混入から病死豚の食肉再利用、人工卵から毒入り餃子事件に至るまで各種解説している。段ボール肉まんは担当記者の捏造でフェイク記事であったが、病死豚や病死鳥の食肉利用だけでなく、シシカバブーの肉を猫やドブネズミの肉を羊油に浸して販売していた。2018/12/26
ののまる
10
最近の上海福喜食品肉偽装事件から、その他のニセモノ食品まで。でも、こうした事件が中国で継続して多発するのは、モラルとかだけの問題じゃなくて、都市と農村の格差問題やワイロなどなど様々な要因がある。でも日本でも食の問題や単なる賞味期限ぎれによる廃棄食品も多い。ま、規模や度合いが違うけど…ニセモノ食品例はかなり食欲減退します。なぜ無くならないのか、日系企業はどうしたらいいのか、という考察や提言の部分を自分の経験から引き出してちゃんと書くライターは好き。単なる悪口本ってホント多いから。2014/10/04
sakadonohito
8
2010年代前半の本。食品工場で扱われる食材、調味料、油それらの安全品質が担保されない中国社会。今となってはすべて古い事件ではあるが、各事件の根底には農村戸籍者の報われない社会生活が反映されているという意味で今現在もそれほど変わっていないのかもしれない。日系企業が生産し日本に輸入している食品はまだしも、完全中国産食品はまだ安心できない可能性がある。屋台のシシカバブや揚げ物は注意らしい。"地溝油 精製方法"とかで調べてみてください。2024/08/29